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◎指導者と発表の場必要 文化の継承と発展には、それを享受しようとする大衆と指導者とその発表の場が必要です。 私たち書道人の大イベントは「群馬教育書道展」です。今年(七月三十一日―八月三日)の開催で六十二回となりました。終戦後すぐの一九四八年に会員展として第一回を、同年中に公募展として第二回展を開催しています。出品はわずかに七百十四点でした。 しかし、戦後の混乱期、半紙をはじめ文房具も乏しく、外圧により教育の場から毛筆が追われている時に、国民の文化を支え民族の心をつくってきた「書道」を取り上げた先輩諸氏の慧眼(けいがん)と勇気に感動します。他県の書道関係者に話しますと、立ち上げの早さ、継続の力、参加者の幅の広さと規模を称賛されます。 その後、発展を続け、七七年の三十一回展では史上最多の六万千八百七十六点を数えました。しかし、やがて減少、近年はなんとか二万点を保っている状況です。 減少原因の一つは社会の変化です。つまり、学歴偏重社会となった結果、受験不要科目が軽視され、芸術が隅に押しやられたことです。塾通いもかつての算盤(そろばん)・習字から、スイミング・ピアノ・パソコン教室へと変化しました。 また、指導者の激減もあります。私が高校の教師になった七二年は書道の専任教諭が十九人いました。その後、定年退職者が続きますが、採用試験もなく現在は六人となっています。義務教育の現場にも毛筆の楽しさを知る先生が少なくなり、毛筆書写の時間確保が難しくなっているようです。 さらに会場問題もあります。教育会館から始まり、前橋市内の小中高校を渡り歩き、現在の前橋市民文化会館、平方学園・創世中等教育学校と、膨大な作品を展示できる会場を探してきました。 しかし、そうした中でも今回の教育書道展では県内全市から市長賞と教育長賞を出していただきました。全県挙げて地域文化に貢献する素晴らしい展覧会に発展したわけです。 さて、先月開催された「ぐんま総文」書道展では、全国から選抜されてきた作品群に多くの県民が驚嘆されました。各県には立派な展示施設と指導者集団があり、努力した結果だと思います。 わが群馬はどうでしょうか。会場となった県庁県民ホールやグリーンドーム前橋は景観も良く、きれいではありましたが、真に高校生の文化活動の場としてふさわしかったでしょうか。また、県内企画展は「郷土の詩人朔太郎、富弘、かまちを書く」でしたが、企画表現の技術指導が十分ではなかったと感じました。指導者の育成と、高校生や文化サークルなどが気軽に利用できる公共の施設が望まれます。 (上毛新聞 2008年9月25日掲載) |