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◎地域を担う人材養成 今、日本人の新しい働き方、新しい生き方が求められているのではないか、と考えている。 失われた十年といわれた平成不況の中で、終身雇用を中心とする日本的雇用慣行が揺らぎ始めた。雇用形態が多様化し、パート・派遣等正規以外の職員・従業員の割合が増大している。平成二十年版の労働経済白書によると、特に派遣社員の構成比が最近五年間に三倍に増加している。仕事について満足感を持っている者の割合も長期的に低下している。 また、人生八十年時代を迎え、多くの人たちが企業から退職して地域社会で生きていくことに自信が持てず、人生の大事な収穫期の生き方に思い悩んでいる。特に今、団塊の世代が引退して地域社会に戻ってきているが、その人たちの新しい生き方が求められている。 このような時代の中で、キャリアデザイン、キャリア教育の重要性が叫ばれている。キャリアデザインとは何かについていろいろな議論があるが、基本的には「仕事と人生を意識化すること」とも定義されている。また、キャリア教育が重視され、義務教育の段階からとり入れられている。現在、職業をめぐる自己実現の権利としてキャリア権が主張され、憲法上の法理に位置づけられている。これからは、自分のキャリアは自分でデザインし、その実現に向かって努力していく時代といわれている。 新島学園短期大は五年前に、単独の短期大としては全国でも極めて早く「キャリアデザイン学科」を設置し、関係者から注目された。本学では入学してから、学生が卒業後希望する自分の働き方、生き方を考え、それに応じて百二十を超える講座(科目)の中から自由に選択して必要単位をとるシステムを採っている。また、建学の精神の一つであるプロテスタントキリスト教の精神に基づく職業観、勤労観および人生観の教育も重視している。 さらに、地域に根ざした短期大として、公開講座を年二回開催しているとともに、教員の研究成果の発表も地域のみなさんに公開している。また、学会の開催も心がけており、本年五月には日本キャリアデザイン学会北関東大会を開催した。 特に今、団塊の世代の人たちが自分の働き方、生き方を振り返るとともに、これからの生き方を探ることをねらいとした「団塊世代キャリアデザイン支援事業」に力を入れている。今年は十二回の講座を実施する。 今、新しい働き方、新しい生き方が求められている時代にあって、これからの地域を担い支える新しい人材の養成を目指し、時代と地域の要望に応えていきたい。 (上毛新聞 2008年8月31掲載) |