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◎挨拶とともに広がれ 夏休みに入って間もなくのことです。私はダンスの練習のため、児童館に向かいました。そこには、町内各児童館の厚生員の方々が待っていてくださいました。挨拶(あいさつ)もそこそこに「いかのおすしを歌います〜」の声とともに軽快な音楽が流れだし、私たち母親クラブ員が踊りだすと、先生方はリズムを取りながら体を動かし始めました。そこは普段から子どもと一緒に体を動かし慣れている先生のこと、数回の繰り返しでマスターされたのは流石(さすが)です。「今度は先生方だけでやってみてください」「えっ! できるかな?」「ポイントをメモしなきゃ」等々、賑(にぎ)やかな中、練習は終了しました。 さて、この「いかのおすし」ですが、どこかで耳にしたことがおありでしょうか? [知らない人について(い)(か)ない・知らない人の車に(の)らない・何かあったら(お)お声で叫ぶ・(す)ぐに逃げる・不審な人がいたら誰かに(し)らせる]。これは子どもたちが犯罪に遭わないための約束をわかりやすく表した防犯(安全)標語です。 ぐんま地域活動連絡協議会では数年前から会員が振り付けをしたこの曲を使って、子どもを対象とした行事などで寸劇やダンスを行っています。五月の母親クラブフェスティバルでも披露され、児童館の先生からぜひ教えてほしいとの依頼を受けており、この日の練習となった次第です。楽しくて、ためになるこのダンスをたくさんの親子が覚えてくれることを期待しつつ児童館をあとにしました。 ところで、大泉町では町ぐるみの「あいさつ運動」が推進されています。挨拶はコミュニケーションの原点であり、挨拶を通して子どもを健全に育てようということでだいぶ定着してきたようですが、先日、健全育成関係の会議で、子どもが「知らない人から声をかけられた」と言った場合、どう対処したらよいかという旨の発言があり、考え込んでしまいました。子どもにとって不審者か善意の声かけかの判断は確かに難しいと思われます。 このように「いかのおすし」と「あいさつ運動」は一見相反するように思われますが、私はそうは思いません。地域との関係が薄れた今、地域のおとなが積極的に子どもたちに声をかけ、挨拶を交わし合うことで、一人でも多くの顔見知りをつくることが真の不審者(?)から子どもを守ることにつながるのではないかと思うからです。 つい先日のことです。ぐんま総文初日、県庁脇ですれ違ったパレード参加の高校生たちから発せられたたくさんの「こんにちは!」の何と爽(さわ)やかだったこと。挨拶はしてもされても気持ちの良いものです。「いかのおすし」も「あいさつ運動」も共に広がることを願います。 (上毛新聞 2008年8月23掲載) |