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大泉町社会福祉協議会会長 阿部 忠彦(大泉町丘山)


【略歴】西邑楽高校PTA会長、元連合群馬館林地協議長。日本酒指導士師範。現職のほか、大泉町サケと遊ぶ会顧問、大泉町18区長。



外国人との共生

◎門戸開放と法整備を



外国人との共生が必要だといわれてからだいぶ時間がたちますが、地域の現場では、生活環境の違いや言葉の問題など多くの課題があり、なかなか共生できていないのが現状ではないでしょうか。

 一番大きな問題として、外国人に対する日本の法律や条令があると思います。現状では、日本国内で働いている外国人の実態にまったくマッチしていないと感じます。

 しかも、多くの外国人問題を抱えている地方自治体は全国の中で限られており、日本全体の問題となっていないことも大きいと思います。

 今や日本で働く外国人に対して、日本人と同じ扱いをする時です。

 まず、市町村の職員を採用する際、外国人にも積極的に門戸を開放していくべきです。日本人の職員と一緒に安全安心パトロールや、地域の防犯、ごみの対策や指導をやるべきではないでしょうか。

 また、介護の現場では、少子高齢化に伴う人手不足がいわれてきています。もっともっと外国籍の方に門戸を開き、積極的に採用する時ではないかと思います。

 言葉の問題や、介護を受ける人たちの文化や習慣に対する理解力、漢字の解読力など多くの課題に対処しなければなりませんが、それでも外国籍の方々の応援が必要な日本になりました。もはや農業や漁業、製造業の場だけのことではなくなったのです。

 今回、大泉・千代田・邑楽の三町共催の介護講習会に、初めて東南アジアの女性が一人応募してくれました。ぜひとも全課程を修了し、介護の現場で活躍していただきたいと思っています。

 特に東南アジアの国々は、今でも大家族主義で、かつては日本にもあった家族愛や隣人愛が濃厚に残っています。

 例えば、お年寄りの面倒を自宅で家族みんなで見ますし、それが無理なら、隣近所を含めて地域でお世話をしています。

 今回の講習会のケースがきっかけとなり、これからもどんどん介護の現場に外国籍の方々が入ってくることを期待しています。

 そのためには、それを受け入れる国の法整備や、市町村の条例・規則の早期改正、そして運用の改善などが必要不可欠です。

 さらには、現在介護の現場で働き活躍している人たちの待遇改善も急務です。

 これらのことが、これから夢のある日本をつくっていく上で鍵になるのだと思います。





(上毛新聞 2008年8月20掲載)