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◎自販機の設置減らそう 立秋を過ぎましたが、今年も非常に暑い夏でした。中部電力、関西電力、九州電力など各電力会社で、一日の最大電力が過去最大記録を更新しました。地球温暖化防止のためにCO2排出削減がさけばれる中での新記録ラッシュです。 これで本当にCO2の削減は可能なのでしょうか。 夏の間、都心では日中だけではなく夜間もエアコンをつけることが当たり前です。アスファルトやコンクリートで地面が閉ざされて熱が溜たまりやすくなり、高層ビル群などで風の通りが妨げられ、オフィスや家庭・車からのエアコンの排熱などでヒートアイランド現象が起こり、太陽光が届かない夜間も気温が下がらなくなったからです。 でもこれでは完全な悪循環で、暑い→冷房→さらに暑くなる→さらに冷房というサイクルに陥ってしまいます。どこかで連鎖の輪を切らない限り、矛盾はずっと続くことになると思います。やはり、ライフスタイルの見直しを現代社会は迫られているのだと思います。 たとえば、地球温暖化対策のひとつとして、「コンビニの二十四時間営業を見直す」という意見があります。確かに、夜中にコンビニを利用する人数は限られているので、多少は消費電力の低減につながるかもしれません。でもその前に、自動販売機の設置を減らすことのほうが、地球温暖化対策の面から考えると有効だと思われます。 二〇〇七年のデータでは、冷却と保温に大量の電気を使う飲料用自動販売機の消費電力は、一台あたり年間一六二〇キロワット時で、一般家庭の年間使用量の五・四カ月分に相当。つまり、自動販売機二台で、およそ一軒分の電気が使われているのです。 現在、この飲料用販売機は全国に約二百六十四万台あって、年間で合計四三億キロワット時の電力を消費。それは百二十二万世帯分の消費電力と同じで、ものすごい消費量です。日本の世帯数が現在四千九百万世帯ですから、総世帯の電力消費の2・5%分くらいを飲料用の自動販売機だけで使っている計算になるのです。 はたして、自動販売機はこんなにも必要でしょうか。確かに、年間で二兆八千億円の売り上げ規模(国民一人当たり年間二万三千円の消費)を誇る自動販売機を今すぐなくすことは難しいかもしれません。 でも、奈良県生駒市が今年の春、「公共施設から自動販売機を撤去する」と宣言した例もあるように、お店で飲料を買うようにしたり、水筒を持ち歩くなどして、一人一人が自分のライフスタイルを見直すことができれば、本当に必要な場所以外の設置を減らすことは可能なのではないかと思います。 (上毛新聞 2008年8月17掲載) |