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◎大人顔負けのものも 私が関係している利根生物談話会主催の理科研究作品展(今年は第二十七回)には、利根・沼田地区の小中学校から毎年二百点余の応募がある。昭和四十年代は沼田市文化祭の一環として、市内三高校の生物部員の研究作品展示と会員の発表が中心だった。その後、高校生の参加が低調になり、中学生へも呼びかけたが、参加はほんのわずかになってしまった。 しかし特例もあって、小学生の時に六年間応募し、中学生になっても自分から申し込んできた女生徒がいた。この生徒は高校進学後も理科の先生を通じて出品し続け、その熱意に驚いた。 現在の中学校では中体連というスポーツクラブ活動が盛んで、理科部を指導する先生が手不足になるとのこと。私は毎年七月初めに校長先生あてに研究作品展の要項を通知し、児童生徒や保護者にも周知できるようにしている。担任の先生には厄介をかけることになるが、夏休み中の自由研究として観察や研究を行い、休み明けに出品してもらうようにしている。 作品は担任へ提出、それぞれ評価されて、十月中旬の作品展まで保管される。昨年は本会発足五十周年記念行事として、会員や賛助会員の作品もあり、例年になく充実した発表会だった。児童の作品もかなり科学的で、子供の作品とは思えない高度な課題やまとめのものが増えてきた。期間中に作品を一点ずつ見て、簡単な評価をさせていただいているが、親や先生の指導助言があったかどうか、難しい観点の作品が多くなった。 子供なりに科学雑誌や映像を見ており、大人が気のつかない考え方や表現が見られる。それにデジカメ、パソコンを駆使した大人顔負けのまとめぶりには驚く。天体・宇宙や環境のことなど、かつては高校生が扱ったような科学用語を用いている場合が見られ、時代の趨勢(すうせい)を感じる。 毎年のことだが、一年生はアサガオやミニトマトの観察が多い。これは学校から夏休み直前に鉢植えを持ち帰り、観察するからだろう。茎葉が伸びて開花するまでに日数がかかり、夏休み終了までには間に合わない場合が多い。子供は真面目(まじめ)にスケッチをして記録することが大変なようだが、折り紙などで色別にグラフ・個数を図案化する能力が見られるようになってきた。 また、写真技術ではピンボケのものがよくあったが、現在はデジカメで子供の仕上げの方がよほどうまいものが見られる。男の子はカブトムシやクワガタなどに興味があるが、幼虫・蛹(さなぎ)・成虫と全経過を観察するには、蚕の飼育観察を勧めたい。用具が簡単で場所も取らずに一世代を観察することができる。私は全員に奨励賞を差し上げている。金・銀・銅の区別はできないと考えているからだ。 (上毛新聞 2008年7月17日掲載) |