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◎今後の生活環境左右 二年前から前橋市の弁天通りで開催させていただいている「キャンドルナイトinまえばし」では、今年の夏至(六月二十一日)も地域の老若男女のさまざまな方々とゆっくりとした時間を過ごすことができました。 今年から高崎さやもーるにある絵本などを販売している書店で行われたキャンドルナイトや、長野県松本市のイベント開催者とも協力し合っています。 しかし、協力し合うことを忘れると、こういうものは群馬県のみならず、往々にして排他的な開催スタイルやエコ意識の競争が始まり、ストイックになっていきがちです。そうなると、サステイナブル(持続可能)な状況を生みにくくなりがちですが、感覚や問題意識を緩やかに共有することで既存の地域を超え、取り組んでいけるのではないかと思っています。 そんな中、今回からの試みとして、楽しく食べるの意味で「楽食(らくしょく)座談会」を開催。昭和村で農業を営んでいる方や長野県佐久市でヨーロッパのオーガニック野菜を作っている方をゲストに迎えて、貴重な話を聞かせてもらいました。 毎日、僕らはさまざまな食べ物を口にしています。しかし、その食べ物について、知らないことがたくさんあることに気付かされ、フランス文化に触れた時と同様の衝撃を受けました。彼らは僕らの友人で、以前にそれぞれの農場見学もさせてもらっており、今回実際に作っている野菜も持参し、食べさせてくれました。 いつもとちょっと違うおいしさの中で思ったことは食事のバランス、安心。食を通した仲間、家族の接点。それは忘れがちな大事なバランスなんですね。 日本では経済を担ってきた団塊の世代のリタイアメントが進み、総体的な生活水準の低下が具現化し続けています。近い将来には安心と食料をどうやって確保するかという『自給のバランス』もより一層切実な問題となってくるでしょう。 そこでは脳みそに取り入れる『文化の栄養バランス』も大切になってきます。地域社会ではその必要性が見えにくいのですが、必要に応じて配置できる企業体を別にすれば、地域社会でも各分野に実務的で文化意識や国際感覚を持った人材の育成、協力が必要となってきています。 文化、環境事業も誰かがやっている、やっていないで判断するのではなく、私たちの街、地域でも失敗を恐れず先進的に行い、上手に取り入れていく姿勢が今後の生活環境を左右していくのではないでしょうか。 個人から団体まで、誰でもできて、誰とでも楽しめ共有できる―そんな文化事業が身近な生活環境を考える良いきっかけになっていけば幸いに感じます。皆さんも楽しみながら自分たちの住むフィールドをデザインしてみませんか? (上毛新聞 2008年7月11日掲載) |