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◎助け合える社会必要 生活の様変わり、社会の様変わり、人の心まで昔と違ってきたのかな?と寂しく思っているのは私だけではないと思います。少子高齢化は田舎の空洞化と都会の一極集中という地域格差を顕在化させています。今までのさまざまな子供たちとのかかわりの中で、これからは助け合える社会が必要なのではないかと思えてなりません。 母は東京の大きなお屋敷で働いていました。そのお屋敷で庭の手入れをしていた庭師の父と知り合い一目惚(ひとめぼれ)。十二歳の年の差を超えて結ばれたと聞いています。父は東京生まれの東京育ちで、父方の身内はいまも東京にいます。 戦争という痛ましく悲しい出来事に遭い、母方の親類をつてに富岡市一ノ宮に疎開しました。戦後の動乱の中で、五人の子をもうけましたが、このうちの男児二人が病気になり、よく言う「友引」という魔の日とでもいうのでしょうか、二人を失ってしまいました。 その後の一九五二(昭和二十七)年、私が生まれました。もちろん女の子として生まれてきましたが、二人の兄の魂を受け継いだかのような男っぽい性格です。 二度と味わいたくない戦争の体験談を、嫌と言うほど両親から聞かされて育ちました。 祖父母のいなかった私は、お年寄りと語り合ったり遊んだりするのが大好きです。会話の中で、お年寄りから、貧しくても家族団らんの楽しかった助け合いの生活の話をうかがい、分かち合う心と思いやる勇気を学びました。 四人兄姉の末っ子として生まれた宿命でしょうか、人が大好きで子供が大好きで、この世に存在する命のすべてに愛情を感じてなりません。亡き父母の影響かもしれませんが、兄も姉も他人の面倒をみることや、社会に参画する精神を受け継いでいるようです。千葉県に住む姉は長年保護司をしております。 五人の子供には自立を促し、多少でも社会貢献できる人になってほしい―と、あらゆることに一緒にチャレンジしてきました。“五人五様”の生き方をしております。今までに商工会はもちろん「なんもく塾21」や民謡会、自分たちで立ち上げた「絆(きずな)の会」など、いろいろなチャリティーショーや興行を手伝いながら、助け合いの精神を学んできました。 年金で生活している同世代の人たちが一緒に生活する共同住宅や、助け合える社会が今こそ必要なのではないでしょうか。今でも都会と田舎の共生を目指して、ネットで訴え続けています。 今回も十五日に「ふるさと再生☆田舎さみっと」と題して、いのちの尊さを訴える映画上映会を開催します。「ぶらっと交流」の実現です。ぜひおいでなんし。 (上毛新聞 2008年6月10日掲載) |