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◎視覚障害者も走った 先月下旬、さわやかな晴天に恵まれて、第九回前橋シティマラソンが行われました。月刊誌「ランナーズ」で三年連続「全国ランニング大会一〇〇撰」にも選ばれ、参加者数も過去最多の六千七百人のエントリーがあり、人気上昇中の大会の一つです。 この大会で、二人の招待選手が、利根川のせせらぎと前橋のみどりの風となって駆け抜けてくれました。一人は、かつて日本女子マラソン界のトップを走っていた深尾真美さんです。大阪体育大を卒業後、実業団でも活躍されていました。骨髄バンクのドナーとしての体験もされております。今回の前橋では、弱視の女性ランナーであるAさんの伴走をしていただきました。Aさんは、数年前に生体肝移植ドナーの経験をされ、その時から胸にはピンク色の「肝移植ありがとう!」の文字をつけたビブスを着用して全国各地の大会に参加されています。 もう一人は、北京パラリンピックの男子マラソン代表選手である盲人ランナーの第一人者、高橋勇市さん。前回のアテネパラリンピックでは、二時間四十四分二十四秒で優勝した金メダリストです。北京では、自己新記録を出しての連勝を目指しています。前橋の一週間前に茨城県で行われた「かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソンかすみがうら大会」で、二時間三十九分二秒で優勝されましたが、その疲れも見せず、果敢にハーフの部に参加されました。 このお二人は、一般選手と同じナンバーカードを着けていたため、あまり目立たず、一緒に走ったランナーや応援の市民に、強くアピールできなかったのがちょっと残念でした。 目立ったことといえば、蛍光イエローなどのビブスを着けた「伴走」ランナーが十組ほども参加してくれました。「視覚障害」または「盲人」の文字を胸に、リング状の伴走ロープを手にして、二人三脚よろしく楽しく駆け抜ける姿がとても素敵(すてき)でした。このように目立つことが、一緒に走っている他のランナーに、障害を持つランナーと伴走者が並走していることを知らせ、より安全を確保してくれるのです。応援の市民にも、障害があっても健常者のちょっとした援助があれば元気に参加できることをアピールできるのです。 一月二十六日付のこの欄で視覚障害者グループ「ランモード群馬」を紹介しました。少しずつですが、外へ出て運動を楽しむ視覚障害者とそれをサポートしてくれるランナーの輪が広がっているのをありがたく思っております。いつもお世話いただくランナーへのせめてものお礼にと、四年ほど前から地元の大会で「マッサージのボランティア」を実施しているのもこのグループです。 (上毛新聞 2008年5月21日掲載) |