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日刊ブログ新聞「ぶらっと」地域ライター 神戸 とみ子(南牧村小沢)

【略歴】 富岡東高卒。家業の自動車整備業に携わりつつ、1996年から南牧ビデオクラブで広報、事務局を担当。2006年から日刊ブログ新聞「ぶらっと」地域ライター。

田舎の行事

◎心繋がるきっかけに

 新緑が美しい一方で、いろいろ忙しい季節です。そんなときこそ、田舎の良さを再確認してほしいなあと思います。もっともっと都会の人が田舎と交流を持てる社会にならないかなあ、田舎が地域ぐるみでやっていることを知ってほしいなあ、と。

 田舎ではいろいろな行事があります。一月=どんどん焼き、二月=桧沢節分祭、三月=文化祭、四月=カタクリこみち祭り・黒滝山大礼祭・山菜取り、五月=大仁田ひとつ花祭り・産泰神社祭、六月=ブルーベリー祭り、七月=さわやかホーム夏祭り、八月=ふるさと祭り&灯とぼし祭り・川遊び、九月=前期農業祭・磐戸祭り、十月=村民運動会・山歩き、十一月=後期農業祭・滝巡りツアー・秋祭り、十二月=除夜祭・二年参り・歩け歩けハイキング

 お盆の行事で全国的にも有名な「灯とぼし祭り」は素晴らしいものです。昔は南牧村の各地であったようですが、現在は大日向地区で勇壮に火を回す習わしだけが残り、村の重要無形民俗文化財に指定されています。

 先日、実家がある小塩沢地区にもかつて火祭りがあったと聞きました。段々畑の上段に木で小屋を造り、導火線のように道火(みちび)をともす、子供中心の祭りだったそうです。世代間の繋(つな)がりもでき、和気藹々(あいあい)とした人間関係が生まれたこの祭りは、子供たちにとって自立の一歩ではなかったかと思います。

 十八年程前のことですが、米国から東京・六本木に興行で来ていたビートルズのコピーバンドが、縁あってわが村の商工会青年部主催「ふるさと祭り10周年記念イベント」に来てくれました。県内外から訪れる人で大いに賑(にぎ)わい、マスコミにも取り上げられ、子供たちにとっては“大人と仲間になった”初体験として心に刻まれました。

 この経験がきっかけとなって中学・高校、さらに大学でもバンド活動をした子供たちがいます。人生を変えたと言っても過言ではない、生きた思い出だと思います。

 いろいろな田舎の行事、伝統や生きるための言い伝え…。それらを後世にしっかり伝えていかなきゃと、最近つくづく思っています。人間同士のあまりに凄(すさ)まじい事件に胸の痛むこのごろ。心の繋がりをもっと大事にしたいものです。山や川、自然が皆さんを呼んでいます。

 この村に嫁いで個人的にいつも思います。「灯とぼし祭り」や「ふるさと祭り」で村中が一つになり、そんな心通う交流によって日本の世直しができないかなあ、と。

 五月の「大仁田ひとつ花祭り」、どうぞおいでなんし。






(上毛新聞 2008年4月25日掲載)