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◎夢に向かうペガサス号 伊勢崎市出身の著名な漫画家、あだち充さんが「群馬ダイヤモンドペガサス球団」のためにイラストを描いてくださった。 爽(さわ)やかな青空のもと、胸にペガサスの球団名が入ったユニホームを着て、口を真一文字に結び凛々(りり)しく立つ少年と、チアガールと思(おぼ)しき可愛(かわい)らしい少女が笑顔で並んで立っている素晴らしいイラストだ。 あだちさんのご提案で、背景には大きな真っ白い雲が描かれている。県民ならひと目でわかる「鶴舞う形」をした雲だ。 われわれは早速、いただいたイラストで後援会の会員募集ポスターを作った。 キャッチコピーは「『夢』に向かって」。 ペガサスが所属するBC(ベースボール・チャレンジ)リーグの選手たちが球団と結んでいる契約は「雇用契約」ではない。 選手たちは、地域活性化・青少年の健全育成への貢献などの、リーグの設立趣旨と運営方針を理解した上で、チームの優勝のためにプロ野球選手としての自らの特殊な技能を提供する。またチームは、彼ら選手たちが、一人の社会人としても立派に地域貢献のできる人材として育成する。その上で、彼らが「ひとつもふたつも上のランクのプロ野球球団」と契約ができるような環境を、言い換えれば、選手一人一人の夢を一緒に実現していこうとするフィールドを提供する。そうした相互の関係で成り立つ「事業契約」を結んでいるのだ。 契約によると、選手たちが球団から報酬を保障されているのは、基本的に、四月から十月までのシーズン期間中に限られている。十一月から翌年三月までのオフシーズンの間は、キャリアサポート制度に基づき、球団や選手に理解のある企業等で就労しながら、自己研鑽(けんさん)に励む。 シーズン中の報酬とて、十代後半から二十代前半が中心の彼らの私生活を決して満足させられるような金額ではない。 このような厳しい状況のもと、それでも選手たちは決して弱音を吐かない。彼らの眼中には、今日の自分の姿はない。夢に向かって、黙々とバットを振り、ボールを投げる…。 選手たちの移動に使用する球団バス「ペガサス号」にも、あだちさんのイラストが大きく描かれている。 「群馬の皆さんに応援してもらえる球団に育ってください」という、あだちさんの期待に応えるべく、四月十九日に前橋・県営敷島球場で行われる開幕戦以降、選手たちと彼らのたくさんの夢を乗せたペガサス号が、県内七球場と県外のビジター球場を駆け巡る。 (上毛新聞 2008年4月10日掲載) |