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日刊ブログ新聞「ぶらっと」地域ライター 神戸 とみ子(南牧村小沢)

【略歴】 富岡東高卒。家業の自動車整備業に携わりつつ、1996年から南牧ビデオクラブで広報、事務局を担当。2006年から日刊ブログ新聞「ぶらっと」地域ライター。

ふるさと再生

◎若者が帰りたい村へ

 昨年一月二十六日に思い切って出かけた東京。“和”と“輪”と“環(わ)”の必要性を感じ、決意新たにコミュニケーションを求めて地域ライター集会に参加しました。地域、ふるさと、田舎の再生と情報発信。そうしたことを後世に引き継ぐ立場として、萎(しお)れていては面目ない、という思いでした。

 五人の子供も自立しつつある中、自分でできることを自分なりに努力してみようと思い、若者が帰ってきたくなるような村に再生したいと考えています。日刊ブログ新聞「ぶらっと」への書き込みはもちろん、自称“ふるさと再生仕掛け人”として、あらゆるメディアに今の田舎の置かれている状況を訴えています。

 「ぶらっと」は、「スローライフ」と「まちづくり」の視点から、地域の動きを発信するコミュニティーメディアのネット新聞です。そこに、高齢化率日本一と位置づけられ、生きるに生きづらい、働き場のない南牧村の実態を書きつづっているのです。

 また、今の日本はどこも皆同じ景色といえます。コンビニがあって、大手企業があって、都会に一極集中…。小売業者や中小企業への圧迫の実態は深刻です。「これでいいのか? 日本」と思うことばかり。日本の風情や日本人らしさが失われ、田舎が置いてきぼりにされていく様を見ている気がします。

 そんな中で、日本の真ん中に位置する群馬県の、ここ西上州の“かぶらの里”は、上信越道のインターに近く、都会にも近い地域です。ピンチをチャンスに! 自分なりの目線で田舎の再生を訴え続けようと決意を新たにしています。

 昨年暮れには、九月に被災した台風9号の映像をまた使いたいとNHKから連絡があり、先月十三日放送の番組「ご近所の底力」には南牧村星尾地区の住民が出演しました。災い転じて、全国に発信するようになった感じです。

 また、先日は妙義山のふもとで開かれた母校、富岡東高校の同窓会「松桜会」の新年会に初めて参加しました。来年は開校百年目を迎えるとあって、歴史を刻むことの意義や、横のつながりの大切さを実感しました。

 まだまだ日本列島には伝統も息づいています。メディアを通した交流をきっかけに、南牧村に関心を持ち、近県をはじめ、いろいろな地域から訪れてくれる人々も増えてきました。自然を求めて「オアシスなんもく」に立ち寄ってくれるのです。心がつながり、いろいろな人が集まる地域になるよう、ますます活性化させたいものです。

 もっと田舎を知ってもらいたい。来てもらいたい。村のイベントに参加してほしい。

 そのためには、将来を担う村の子供たちに、ふるさとを誇りに思ってもらいたい。私は現在、スクールボランティアとして南牧小に通っています。そこでは一年生五人が私を待ってくれています。住民が良い所と思わずして、訪れた人が良い所と思ってくれるわけはありません。優しいおもてなしの心が育つ素敵(すてき)な村でありたい、と願いを込めて子供たちと触れ合っています。「子孫よ、鮭(さけ)のように、ふるさとへ戻っておいで」という気持ちです。






(上毛新聞 2008年2月29日掲載)