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◎違いを学んでおきたい これは、ある学園の、入学から卒業までの物語です。その歩む道を年金道で語った、空想の、そして科学的でない物語です。 「むかーし昔、赤城太郎という男の子と、榛名富士子という女の子がおりました。ふたりは日本のおへそ渋川で出会い、そして結婚。花嫁の富士子は榛名から赤城へ引っ越し、ここに赤城一家が生まれました。やがてほかほかカップルから愛の結晶が紡(つむ)ぎ出され、四人の子が誕生しました。上から順に、年子(としこ)、金一郎、金次郎、金三郎といいます。四人きょうだいは皆ソックリで、毎日なかよく遊び、暮らしておりました。 やがて四人は成長。年子ははや大学四年、金一郎は高三、金次郎は中三、金三郎は小六となり、この三月はそろって卒業式を迎えます。富士子ママと太郎パパは、どっちがどの子の卒業式に付き添うか大わらわ。頭を痛めています。そこで銀作ジイと銅(あかがね)バアに頼んだところ、二人は大歓迎。冥土の土産にと毎晩眠れぬ日々。そうです、赤城さんちは八人の大家族なのでした」 ここで、四人の子らが歩む年金道を、二つの学園になぞらえてお話ししてまいりましょう。 厚生年金学園の入学は最年少で十五歳。義務教育を終え、民間の会社へ就職し、厚生年金に加入する。この形が最も長く加入できる道です。義務教育修了後、六十歳まで四十四年ほどまじめに勤める方がおられます。よく出会います。そういう折には「お疲れさまでした」と、声をかけないではいられません。 それでは学園の卒業はいつか。定年六十歳で再雇用。さらに六十五歳で再々雇用、ついに七十歳。なんと十五歳から七十歳まで五十五年の加入。厚生年金学園の卒業は、最年長で七十歳なのです。 一方、国民年金学園はどうでしょう。ちょうど区切りよく、入学は成人の二十歳、卒業は定年の六十歳で、最長四十年加入です。 それでは、各学園の学生証(年金手帳)は、いつ発行されるのでしょうか。厚生年金は就職時点、国民年金は二十歳時点です。他方、卒業証書(年金請求書)は、いつ授与されるのでしょうか。厚生年金は六十歳、国民年金は六十五歳になります。二○○七年一月より、卒業証書(年金請求書)の送付サービスが始まり、便利になりました。 さて、話は再び赤城さん一家に戻ります。四人の子は皆、学年に応じた年金授業を受けており、加入手続き、保険料、そして年金額については筆算もできます。保険料の未納は恥ずかしいと仕込まれ、あり得ません。祖父母の年金額の内訳までよくわかります。 筆者は、近い将来、学校でこうした年金教育が行われることを期待しています。 三月は卒業式の時季。どこからともなく「仰げば尊し」の詩(うた)が響きます。「思えばいと疾(と)しこの年月」の「疾し」は「早い」という意味だそうです。四人そろっての卒業式。八人家族の三月は“メークドラマ”なのです。 それではここで、卒業祝いに一枚の色紙を。 〈春の海 ナミダ泪(なみだ)の なみだ舟〉 (上毛新聞 2008年2月15日掲載) |