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六本木マウンテン(LLP)代表 六本木 勇治(前橋市千代田町3丁目)

【略歴】 2001年に渡仏、3年半ファッションや文化を体験。フランス生まれの「世界のCMフェスティバル in GUNMA」プロデューサー。06年8月から現職。

ゼロ次産業

◎地域つくるひとづくり

 僕たちは、来月八日から十一日までの四日間にわたり、前橋の中心商店街にて「MAGMA」という文化イベントを初開催します。

 「MAGMA」には、今、僕がプロデューサーを務めるフランス生まれの映像の祭典「世界のCMフェスティバル in GUNMA」、県内で活躍しているデザイナーたちが主催する交流の場「デザインフィールドG」、県立女子大の学生を中心とした劇団「無限舞台」、県内の若手フォトチーム「Garage photo Party!」が参加します。そして、県内のアーティスト、白川昌生さんや茂木康一さんらによる「art MAGMA」というアートエリアを設けることも企画しています。

 今回は、なぜこのような民間発信の文化事業を行うのかを書きたいと思います。

 今の社会は一次、二次、三次という産業構造の上に成り立っていますが、それらの前提としてのゼロ次産業「ひとづくり」という認識をつくっていくべきではないかと思っています。

 ひとづくりとは夢をつくっていくことであり、夢とは自分が将来向かいたいビジョンなんだと思います。しかし、つくる人たちと、それを享受して消費する人たちが分断され、価値観の共有ができていないのが今の世の中であるといえ、両者をつないでいるのは経済でしかありません。

 それはそれで重要なんですが、これからの一つの可能性として、それぞれの“地域ビジョン”を持った人たちが増えていくこと、そのビジョンを形成していくためには、近しい生活環境の中でさまざまな活動をしている人たちと積極的に交わっていくことが大切だと思います。まずは“体験する”行為があり、結果が出て、感覚を得ることで言葉になり、それによって自分たちの住む場所や環境に対して実感を持ち、考えていくことができる。少しずつすべてにおいて具体的な説得力を伴っていき、それによりいろんな人と交流でき、楽しくなると思うのです。

 その考え方の核となるのは、僕たちの所属する弁天通り青年会の活動です。前橋中心商店街協同組合理事長や各商店街の皆さんの多大なご理解のもと、自分たちが現場に住み、ゼロから出発する要素が必要だとの実感をもって活動しています。学校や親にだけ任せるのではなく、身近な誰かのため、その人の生活を思って行う文化的なイベントや感動を各コミュニティーに演出していくことが、僕たちも含めた地域の人たちの役目なのではないでしょうか。

 これまでより感覚的に5%くらい先んじる考え、行為を地域社会に備えていくことです。その中で僕たちは、世界や地域と同時に繋(つな)がっていく人が育つ環境をつくっていきたいと思っています。来月十日の「世界のCMフェスティバル in GUNMA」では今後の開催と連動して行う“群馬のCMコンクール”の詳細も発表しますので、一般の方も会場に足を運んでみてください。ぜひ一緒に文化の祭典を楽しみましょう!






(上毛新聞 2008年1月28日掲載)