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◎味覚や嗅覚を鍛えよう 二○○七年は食の話題が多い年でした。産地偽装や賞味期限改ざんなど食品業界の不祥事から、ミシュランの三つ星認定までありました。不祥事の中には老舗や名店も名を連ね、嘘(うそ)を重ねて弁明に次ぐ弁明というケースもありました。私は腹立たしさより情けなさでやり切れませんでした。いつからこんな世の中になってしまったのでしょう。 偽装や改ざんをしたメーカーの責任は言うまでもありません。でも、それだけでしょうか。消費者側に問題はないのでしょうか? ブランドにこだわり、モノの本当の価値を他人任せにしてきた結果なのではないでしょうか。 三つ星レストランにしても同じです。「選ばれた、選ばれない」と大騒ぎしていますが、味には好みがあり、ある程度の人が認める一定の味を超えたら、あとは個々の嗜好(しこう)によると思うのですが…。 賞味期限なども私が子どものころは、食べて安全か否か、自分の舌や鼻で確かめたものです。私たちは自分の味覚や嗅覚(きゅうかく)をもっと信じるべきです。それには子どものころから味覚や嗅覚を鍛える正しい食生活が必要となります。 食生活を見直すべく「食育」がいわれて久しくなります。「食育」推進の背景はいろいろあると思いますが、主なものとして次のようなことが考えられます。 (1)子どもの肥満増加↓生活習慣病(2)朝食抜き児童の増加↓授業へ悪影響(3)家族との食事の減少↓会話減少(4)食のマナーの乱れ↓マナー全般の乱れ―等々。 これらから分かることは、正しい食習慣は子育てや健康と大いに関係し、子育てと食育は切り離せない大事なものだということです。朝食抜き児童の授業への集中力欠如は多くの教師が指摘しています。これに困った学校とPTAが協力し、おにぎりか何かを用意しているという記事を読んだことがあります。この対策には全面的には賛成しかねますが、それだけ深刻だということです。 孤食も問題で、家族が一緒に食事することの大切さを真剣に考えなければなりません。一緒に食べれば、食事量で健康をチェックでき、会話の中から子どもの日常を知り、「いただきます、ごちそうさま」と言う食事マナーの指導によって挨拶(あいさつ)やモノを大切にする心を育てることもできます。毎日が無理なら週に何度かでも、家族一緒の食事時間を持つ努力が必要です。 食育とともに考えたいことの一つが地産地消です。群馬県は有数の農畜産物生産県です。そこでぜひ進めてほしいのが学校給食での県産食材の利用です。「旬の味を知る」「生産ルートが明らかで安心・安全」などメリットも大きいと思います。以前、子どもたちと食事作りをした際、採りたての白菜を「これ食べてみて」と差し出すと、「ナマで食べられるの?」と恐る恐る口にしていましたが、すぐに「アマイ! 採りたてって甘いんだね」と感心していました。 量や種類など難しい面があると思いますが、献立の工夫などで極力、県産品を利用し、真のおいしさが分かる舌を育てたいものです。ブランドに頼らない子どもを育てるために―。 (上毛新聞 2008年1月12日掲載) |