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雑誌編集者 吉田 泰章(東京都大田区)

【略歴】 伊勢崎市生まれ。明治大卒。エコ&ナチュラルな情報を企画編集するアクアパパ代表、ライフスタイル雑誌「ナチュラルスタイル」(不定期刊)編集長を務める。

地球温暖化防止

◎行動につながる情報を

 地球温暖化防止に向け、いよいよ今年から京都議定書の実行がスタートします。日本は一九九○年のCO2排出量のマイナス6%を実現しなければなりませんが、その後の経済活動などによって、逆に九○年よりもCO2排出量が約8%も増えたため、合計で約14%削減しなければならないことになっています。果たして、今の状態でこの数値達成は実現できるのでしょうか。

 地球温暖化の問題は、私たち人類がサステイナブル(持続可能)な社会をつくるためには、かならずクリアしなくてはならない全世界共通の最優先課題のはずなのですが、現状では非常に厳しいものだと思われます。現在までに排出された地球温暖化ガスを計算すると、すでに一度の温暖化は避けられず、このまま経済成長によるCO2の排出が続けば、二○一六年に地球全体の地表の平均気温は一・五度上昇し、二六―二八年には二度上昇するというスーパーコンピューターの試算も発表されています。

 人類が何とかこれまでのライフスタイルを維持していくことを許容できる温暖化の限度は、二度の上昇まで。それを超えると多くの国や地域が気候変動などにより多大な影響を受けると考えられていて、そのためには、後戻りのできなくなる臨界点を超える前に効果的な対策を行う必要があるのです。もちろん、これはあくまで高度成長が続いた場合の可能性のひとつですが、先日も北極の氷の解け方が過去最大を記録したと報じられたように、想像以上の速さで温暖化が進んでいるのは間違いないようです。

 現在、日本国内でもさまざまな努力はされていますが、これまでのCO2排出量の推移を見ればわかるとおり、大きな効果は上がっていないのが現実です。省エネや技術革新で削減された排出量より、経済活動による排出量の増加が上回っているからです。

 最近の国内の調査機関による意識調査では、「環境を意識している」「地球温暖化が気になる」という、エコロジーに関心のある層が年々増えているのにもかかわらず、なぜかCO2削減に向けた実際の数字にはつながっていないのです。それはもしかしたら、意識としては感じているとしても、それが国民全体の自発的な行動につながっていないからなのではないかと私は思います。地球温暖化の問題は、消費社会に暮らす私たち一人一人が真剣に取り組まなければ解決できない問題だという情報と、そのために必要な具体的なライフスタイルの情報がきちんと届いていないからなのではないでしょうか。

 地球温暖化の問題は、目に見えないため非常にわかりづらく、実感しにくい問題だと思いますが、実際に目に見えたとき(たとえば気候変動が起き、日本が亜熱帯になったり…)には、取り返しがつかないから大変なのです。

 まずはこの冬、暖房の温度を一度下げることから始めてみませんか。






(上毛新聞 2008年1月8日掲載)