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◎村内外が繋がり“家族” 私が南牧村へ嫁いではや三十三年目。自営業の忙しさに五人の子育てに、月日がたつ早さを実感します。いろいろな出会いや経験、祖父母が居て実家の母が来て、と賑(にぎ)やかそのもの。二男三女の成長とともに歩む人生になり、それぞれのかかわりに生きる世界・家族になりました。村の人口の推移を見ても当初は七千人近く。今や三千人を割り、過疎化の現実は深刻です。 子供がサッカーをやりたくても親が知らず、ましてや南牧村でなど考えられないことだった当時、息子や娘がサッカーに通い始め、仲間七人でFC富岡に入部。掛け替えのない思い出です。 南牧村に「ふれあいテレビ局」が開局したのと同時に結成された南牧ビデオクラブにもかかわり、インターネットにも着手しました。田舎で暮らす! 家族で助け合う! まだまだ日本人らしさを失わないでほしいと願いを込めてホームページを設け発信中。今は日刊ブログ新聞「ぶらっと」というネット上の新聞の地域ライターとして、南牧村や県内外のあれやこれやを書いています。田舎・ふるさと・地域再生を願い、先祖がそうさせてくれているのではないか、と不思議な使命感のような気持ちで動いています。 そして九月。「関東直撃台風…南牧へ」と、甚大な被害に見舞われた実態を撮影。生の声を聞き歩きました。普段から息子や娘のあらゆるサッカー試合や行事を撮影してきた主人の協力が生きました。畑の中を歩かなくては道がない! そんな状況を「ぶらっと」へ書き、訴えました。災害現場を足が痛くなるほど歩き回る消防団員の皆さん、役場関係の皆さんをはじめ、みんなのボランティア精神なくしてはできず、南牧村はまだまだ凄すごい地域力です。人的被害などなかったのが何より。 災害の様子や出来事が各メディアで取り上げられ、実家を離れた家族や知人から心配する電話が来たり、お見舞いや贈り物が届いたり…。これまた家族の繋(つな)がりです。村の人たちは、遠くは北海道から沖縄、そして海外は米国からも連絡が来たと喜んでくれ、凄いことです。 状況は悲惨でしたが、自然の怖さを知り、助け合って生きる大家族だという認識をあらためて持ちました。 子供たちも何かを感じたはずで、学校の屋上に自分たちで掲げた「とりもどそうみんなのすきな南牧を」の言葉。今も掲げられ、感動ものです。地域ぐるみの大運動会も行うことができ、ネット繋がりで世界でも活躍している嶋崎靖さん(東京)率いる「チンドン隊」も来てくれました。まさかの良いことが起きました。子供たちは「やればできる」を実感したと思います。 心の絆(きずな)・和が今の日本には足りません。その“心”が繋がりました。こんなふうに、田舎でも日本のふるさと、いや世界中と繋がって“大家族”のふるさとになれたら…なんて思っています。 (上毛新聞 2007年12月28日掲載) |