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◎育て上げのシステムを 今年六月、前橋市中心商店街の銀座通りの千代田町四丁目に、ニート(若年無業者)と呼ばれる若者たちとその家族を支援する「ぐんま若者サポートステーション(サポステ)」がオープンしました。開設以来六カ月が過ぎ、若者本人・家族などの来所数は、延べ千二百人を超えました。 これまで、働きたいけど働けない状態の若者たちや家族は孤立無援で、どうしたらよいかわからないという状況で苦しんでいましたので、サポステの開設を機に、相談や問い合わせの連絡が日増しに増えています。 大沢正明知事の笑顔が表紙になった「ぐんま広報」九月号で「ニートと呼ばれる若者たち」という三ページの特集が組まれましたので、その存在を初めてお知りになった県民も多かったことと思います。 「ぐんま若者サポートステーション」とは、厚生労働省の地域若者サポートステーション事業を活用し、群馬県がニート対策会議の答申に基づいて設置した、ニート支援の第一次的窓口としての専門機関です。私たち、NPO法人キャリア倶楽部が受託し、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、臨床心理士などスタッフ七人で運営しています。 そもそも、ニートとは、どんな若者なのでしょうか? 二○○四年秋、厚労省が「ふだん無業で、働くための求職活動をしていない、在学も通学もしていない、未婚の若者」を「若年無業者」として公表し、同年出版された『ニート フリーターでもなく失業者でもなく』(幻冬舎)の著者、玄田有史さんが日本版ニート(NEET)をクローズアップさせたあたりから、一般に知られるようになりました。 NEETとは、英語のNot in Education, Employment, or Trainingの頭文字をとったもので、もともとは英国の若者支援政策の中で用いられていた言葉です。 当時、このNEETという言葉は「働く意欲のない、怠けている若者」というセンセーショナルな報道やイメージが先行していました。 しかし、その後は若者たちの実態・実情が少しずつ明らかにされることにより、ニートとは「働きたいと思いつつも、働けないで立ち止まっている、働けない状態の若者たち」であることが明らかにされてきました。 国と地方自治体によるニートやフリーターなど若者への支援対策は始まったところですが、これはあくまで対症療法です。 これからは並行して、ニートにならない、させないための、各教育段階での対応や、じっくりと腰を据えた家庭、地域社会での「育て上げ」システムの再構築など多面的な方策が急務ではないかと考えます。 (上毛新聞 2007年12月22日掲載) |