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書家 小倉 釣雲(前橋市上新田町)

【略歴】 本名・正俊。東京学芸大書道科卒、同専攻科書道修了。県内の各高校で書道を教える。毎日書道展会員、県書道協会理事・事務局長、上毛書道30人展運営委員長など。

本大会の「書」が楽しみ

◎ぐんま総文

 「総文」とは? 「総体」は高校の運動部の大会としてかなりの人が理解していると思う。一方、室内活動が主たる文化部の活動や存在はあまり知られてこなかった。そんな状況を打破し、文化部の活性化を図ろうと実施されたのが「文化のインターハイ」とも称される「全国高等学校総合文化祭」、略して「総文」である。「総体」と同じく、各県が持ち回りで開催してきた。

 来年の第三十二回が群馬開催となる。具体的には、二○○八年八月六日から十日までの五日間、県内九市二町の二十会場において演劇、合唱、吹奏楽、美術工芸、書道、写真をはじめ、郷土芸能や吟詠剣詩舞まで二十四部門にわたり、文化活動の発表会やコンテストが繰り広げられる。全国から二万人の高校生が来県することになる。

 さて、その書道部門であるが、県高等学校教育研究会書道部会が大会の重要さを十分に認識し、数年前から精力的に企画を練り、参加運営にかかわる生徒を育ててきている。部門行事の中心はもちろん全国から寄せられるおよそ四百点余りの各県代表作品展であるが、歓迎する側の地元高校生企画展はどの県でも工夫を凝らし、力のこもった作品展で全国の高校生を楽しませてきた。

 群馬はというと、現行の学習指導要領で必修とされた「漢字かな交じり書」で表現でき、世界に誇れる萩原朔太郎、山田かまち、そして今も活躍中の星野富弘さんの詩を書くことで全国の「友」を迎えることにしたのである。

 そこで本年は、先月八日から十四日まで本大会会場となる県庁県民ホールにおいて、第三十二回全国高校芸術祭書道展地元企画展プレ大会を開催した。参加校は三十六校、出品生徒二百四十九人。

 群馬大会書道部門実行委員長、森泉芽衣さん(高崎女高二年)のあいさつには「県内の書道部を三ブロックに分け、群馬県を代表する詩人である星野富弘、山田かまち、萩原朔太郎の詩を書きました。拙(つたな)い表現ではありますが、詩のイメージを大切にして作品作りに取り組みました」とパンフレットにある。詩意の理解と線芸術書としての造形表現。極めて難しいジャンルである。

 先生方の適切な指導もあり、朔太郎を素材に選んだ生徒は「新たに狂気を発見することもでき、非常に楽しみながら制作できた」「詩を読み抱いた哀(かな)しさ、孤独を表現しよう」と、その取り組みを表現していた。

 かまちの作品を書いた生徒は「かまちの心情を読みとり表現するのはむずかしかった、よく考えて書いた、書いていくうちにかまちという人物と詩の気持ちがわかった」と感想を記していた。

 表現技術面では、「木簡の書を基調として」「顔真卿を意識して」など日ごろの臨書活動から得たものを駆使した表現を試みていて好感が持てた。

 「もっと朔太郎を知って書きたい」という生徒の意欲も見られた。また、中央中等教育学校や玉村高のように、たった一人でも参加した生徒がいた。来年の本大会が大いに楽しみである。






(上毛新聞 2007年12月15日掲載)