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◎「継続は力なり」を実感 小学校のころは人並みに音楽が好きだった。青年期に入って、浅草での軽音楽に胸をときめかせ、日劇の、李香蘭が歌う「白蘭の歌」に酔い、やがて軍歌にのみ込まれていった。 そんな私が、なぜか「新田音楽友の会」に長く深くかかわっている。一九八〇年、新田町立図書館(現太田市立新田図書館)がオープン。翌年、図書館からの呼びかけで集まった音楽好きの人たちによって「新田町音楽友の会」(現新田音楽友の会)が誕生した。 図書館二階、六角形の講座室は、多目的ホールながらも、音楽演奏を意識して設計されたものだ。定員百人。隣接する部屋からの椅子(いす)を入れると、百四十席がマキシマム。室内楽にはうってつけのスペースだ。大ホールにも対応できるすばらしい大型スピーカー(アルテックA7)。それを支える音響機器。レコードコンサートを行う態勢は整えられていた。 図書館法では、集会事業も規定されていて、所蔵する資料にかかわる集会事業を歓迎する。 友の会は、図書館と意思の疎通を図りながら、クラシックを中心に、音楽鑑賞活動を進めることとした。日本の、特に、農村地域でのクラシック音楽の関心度は低く、聴く機会にも恵まれなかった。そんな環境は、クラシックの“食べず嫌い”にも繋つながっていく。 「地域に音楽を!!」というキャッチフレーズは、クラシック音楽に馴な染じんでいただき、音楽風土を豊かにしていきたいからにほかならない。 レコードコンサートは、出足から参加者が少なかった。時代の変化を感じる。プロの音楽家にも参加を願って話し合った。「生演奏でいこう」と決まり、アマチュアの音楽集団にお願いすることになった。太田市民吹奏楽団、前橋マンドリン楽団、アンサンブル・ルーデンス、館林女子高校マンドリンギター部、ソプラノグループのクレシェンド等々。演奏者に、「みんなに知られた曲目を入れてください」という注文をするのも、地域住民に「聴きに行ってみるか」という気を起こさせたいからなのだ。演奏会への関心も高まり、参加者も多くなっていった。この動きは、レコードコンサートで悩んでいた群馬県立図書館に影響を及ぼし、同館でも「生」のコンサートが開かれるきっかけになった。 アマチュア楽団の温かいご協力によって続けられたコンサート。だが、大きな谷があった。会費五百円で募集を始めた会員がなかなか増えない。図書館主導のスタイルも友の会主導に変わり、コンサートも、年二回にまで落ち込んでしまった。図書館報償費が取り消され、「会場は貸せない」「ピアノ調律料は出せない」などと崖(がけ)っぷちに立たされたこともあった。 が、友の会が敷いた背水の陣は、行政を動かし、これらの難題を解決。この何年かは会員も百人を超え、今年は百二十人。会費二千五百円。バイオリンリサイタルに始まり、年五回、会場溢(あふ)れんばかりのコンサートが続いている。「継続は力なり」を実感している。 (上毛新聞 2007年11月19日掲載) |