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共愛学園前橋国際大国際社会学部長 大森 昭生(前橋市駒形町)

【略歴】 宮城県出身。東北学院大大学院博士課程在籍中の1996年に共愛学園入職。2003年から現職。県男女共同参画推進委員、前橋市社会教育委員などを務める。

地域と大学

◎世代を問わず活用を

 「少し緊張してドキドキしました」「貴重な体験でした」「たくさん学ぶことがありました」。ボランティアや地域連携事業で活動してきた学生たちが笑顔で感想を報告してくれます。そのたびに、教室の中だけでは学びきれないことを地域の中で学ばせてもらっているのだと感じます。

 大学の使命は、教育と研究、そして地域との連携や貢献にあるといわれています。今、さまざまな大学が地域貢献に取り組み、また大学の開放や地域との連携を進めています。公開講座、施設の開放、共同研究や研究者の各方面への派遣など、その取り組みはさまざまです。また、最近では、地域と大学の間に学生たちがいる、そんな学生参画型の地域貢献の在り方が模索されてもいます。

 大学にとって地域とのつながりを持つことには意味があります。もちろん、大学に求められる重要な使命であるという認識と、私の大学でいえば、学園が百二十年間、教育研究活動を続けてこられたことに感謝し、恩返しをしたいという気持ちがあります。加えて、大学が今どのような研究や教育を行っているかを知っていただき、親しみや信頼感を寄せていただくことを通して、大学から地域社会へと巣立つ学生たちを温かく受け止めていただきたいという願いがあります。また、先に紹介したように、これから地域社会とともに生きていこうとする学生たちが、活動の場を与えていただき、学びを得られることは素晴らしい教育の機会であると考えられます。

 それでは、地域にとっての大学はどうでしょうか。自治体や企業と大学の連携によって、さまざまな研究や事業が展開されており、産業や地域社会の活性化につながることが期待されています。最近では多くの自治体、企業、大学が集まり、共同で地域貢献をする試みも行われています。

 また、地域と大学のつながりは、そのような大きなものだけではありません。例えば、私の大学のように図書館を地域の方にも利用していただいているところは少なくありません。同じように、一科目から受講できる科目履修制度や、社会人のための特別入試や学費減免制度などもあります。もちろん公開講座や各種行事が開かれています。つまり、地域の皆さま一人一人にとっても大学を活用できる機会が多様に用意されているのです。現に、私の大学でも地域のさまざまな世代の方々が学ばれています。現在、お仕事が一段落された世代対象のプログラムなども検討しているところです。

 生涯学習という考え方は既に定着し、最近では学び直しやセカンド・キャリアプランなどの意義が説かれてもいます。「ちょっと調べものを」「前からこの分野だけ学んでみたいと思っていた」「スキルを身につけて再チャレンジしたい」「時間ができたから大学に入り直したい」。それぞれの思いを満たす選択肢の一つとして、大学という地域資源を積極的に活用されてはいかがでしょうか。

 大学は、地域の皆さまをお待ちしています。どうぞ大学にお立ち寄りになってみてください。






(上毛新聞 2007年10月30日掲載)