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◎「教育課程外」の改革を 秋の日差しを浴びて、放課後の校庭では、生徒の元気な声と打球の音が響く。県新人大会のさなかで、部活動に熱が入っている。部活動は、中学生の学校生活の半分を占める。生徒たちは、部活動で目標に向かって努力することを学び、勝つ喜びと負ける悔しさを知る。また、仲間と協力する大切さを知り、人間関係の難しさに悩む。まさに、部活動は、生き方の実践の場である。 ベネッセ教育研究開発センターの調査(二〇〇七年)によると、全国の中学生の九割以上が部活動に参加し、約八割の生徒は、積極的に参加しているという結果である。部活動の中で自分の力を発揮し、成就感や達成感を得ている生徒は多い。 ところが、この部活動が教育課程(学校の教育計画)の中に入っていないのである。文部科学省が指導内容の規準を定めている学習指導要領の中に、部活動に関する記述はない。部活動は教育課程外活動という位置づけである。 しかし、各中学校では部活動指導に力を入れており、夕方六時、七時まで活動している学校もある。また、休日も返上して練習試合や大会に参加している。時間外勤務にもかかわらず、多くの教員は、部活動指導に積極的である。家庭を犠牲にして、休日も部活動指導を行っている。休日の練習試合や練習では代休は取れない。休日に四時間指導すると部活動業務手当が千二百円付くだけである。その上、いくら部活動指導に力を発揮し、すばらしい成績を収めたとしても、教員の処遇には反映されないのである。 しかも、生徒や保護者の期待という重圧を背負って、教員は部活動に邁まい進しんせざるを得ないのである。 日本のスポーツの競技力は、教員の献身的な部活動で支えられている。中・高校の部活動で鍛え、その延長上に世界レベルで戦う選手が育っている。したがって、スポーツ界の未来を考えたとき、ボランティアで成り立っている現状の部活動を改革する必要があると思う。 全国中体連では、部活動を教育課程内の活動として、学習指導要領に位置づけてほしいと要望しているが、実現の可能性は低いという。教員の正規の業務とするには、勤務、手当、活動時間、指導計画等、解決しなければならないいくつかのハードルがあるが、工夫すれば解決できると思うのでぜひ検討してほしい。 もし、それが無理なら、部活動は、社会教育へ移行すべきである。その場合、指導時間に見合った手当を支払い、指導者を確保する必要がある。 ヨーロッパ各国では、日本の部活動のように学校で一つのスポーツをするようなシステムはなく、競技スポーツは学校外のスポーツクラブで指導している。日本のフェンシング界は、学校の部活動によらず、地域のスポーツクラブでの指導の実績を持っている。部活動を学校から切り離した時、いつでも対応したいと思っている。 (上毛新聞 2007年10月29日掲載) |