視点 オピニオン21 |
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◎ザスパ草津支える熱さ 私の「視点 オピニオン21」も最後の原稿になった。これまで、私の駄文にお付き合いいただいた読者の方々に深くお礼を申し上げたい。 振り返ると、本稿では本県初のプロスポーツ企業であるザスパ草津を経営の視点から論じ、急逝された大西忠生前社長の思いを伝承することを目的に、ビジョン、経営管理、「クラブ」と「チーム」の構造と機能、市場環境への対応、ザスパ草津を支える熱い人々について述べてきた。まとめると成長中の経営体制、安定化しつつある財務的実績、安心できる市場とステークホルダー(利害関係者)である。しかし、熱い一体感の希薄化を時折感じる、と前稿(八月二十五日付)の最後で述べた。本業に由来し、私のザスパ草津における機能は、加盟申請書や事業計画・再生計画の作成など舞台裏が中心であったが、だからこそ一番深い資本の視点からザスパ草津に対する熱さを考えてみる。 ザスパ草津の法人化の第一段階は、実は猪股有古現相談役が資本の半分を担うという個人の熱い思いから発している。第二段階では熱さのコンテンツ提供が主題となり、草津町と県内マスコミ三社による出資が実現する。第三段階が株式会社サンワの遠藤祐司社長、株式会社エフエム群馬の小林洋右社長のお声がけによる、前橋を中心とした企業株主の出資を頂いた時である。Jリーグ昇格が確定したわけではない時期の、熱い地域振興の一環だった。サポーターも増え、皆がJリーグという夢舞台を目指した強いザスパ草津を熱く楽しんでいたころでもある。 そして、晴れてJリーグ昇格。しかし、ここで不祥事を起こしてしまった。皆さんに多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまった。今でも本当に申し訳なく思うとともに、変わらぬご支援を頂けたことに深く感謝している。その時、大西さんはザスパ草津存続に凄(すご)みを見せていた。営業は二倍の目標にこだわり、Jリーグからの命を受けた猪股さんは第四段階の増資を達成、サポーターも支えてくれた。ザスパ草津が、個人商店、夢カンパニーから、株式会社として再生の道筋に乗った。 先日、生前の大西さんと最後に一緒にご支援をお願いしたサンデン株式会社の出資が実現し、牛久保雅美会長にお礼に伺った。「テレビで見てましたよ。草津で働きながらJリーグを目指す選手たちを」。ザスパ草津の物語だった。ザスパ草津は、一人一人のサイドストーリーを持った長い物語だ。同一の舞台にいるから、スポンサーも株主も、役員も社員も、監督も選手も、サポーターも同じ時間、空間、夢を背負って一緒に戦っている仲間と考えたほうがしっくりする。ザスパ草津の物語の中では大西さんは逞(たくま)しく生きている。不可能と思われても、潰(つぶ)れそうになっても、負けても、歯を食いしばり、絶対に諦(あきら)めない。これが熱さの源泉であった。 設立当初からの合言葉、「ザスパ草津は絶対に諦めない!」。久しぶりに、武者震いを感じた。 (上毛新聞 2007年10月21日掲載) |