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◎豊かな心の技術者育成 専門学校は、一九七六年に「学校教育法第七章の二」で規定された専修学校のうちの一つである。専修学校は、入学資格により高等課程(中学校卒業者)、専門課程(高校卒業者)、一般課程(入学資格不問)と区分される。このうち、最も急成長したのが専門課程(修業年限二カ年以上)の専門学校である。 県内高校卒業者の今春の進路では、専門学校・各種学校への進学者は26・5%で、四年制大学の43・7%には及ばないが、就職17・8%、短大6・8%をはるかに上回る(県の学校基本調査)。 これだけの高卒者が進学しているのに、専門学校に対する社会一般の理解はいまひとつと思われる。そこで現在私がかかわっている専門学校を例に、その運営や教育の理念、果たしている役割などについて述べてみる(県内の他の専門学校も同様であると思う)。 まずは経営・運営の理念として、「良い学校」をつくるために三つの条件を満たすように努力している。第一は施設・設備を充実させること、第二に熱心で力のある教員を揃(そろ)えること、そして第三には主役である生徒をよく学ぶように導くこと、である。 施設・設備を充実させるためには資金が必要だが、教育にかかわるものには他を節約しても投資している。採用の時には力がある教員も、専門の知識、技術は日々進歩するので、力が衰えないように先端研修などにどんどん参加させている。また、マンネリ化して向上心がなくならないよう全教職員に、日商簿記、日商販売士、サービス接遇、ビジネス実務、パソコン財務会計主任者、漢字など各検定の高位の資格取得を義務付けている。よく学ぶ生徒にするためには、専門学校でも担任制とし、学習はもちろん、生活全般にもきめ細かな相談に応じている。 私のかかわる専門学校は三校併設の学校法人なので、情報商科校で前述の資格取得を進め、医療校で全教職員がAED(自動体外式除細動器)や人工呼吸の救急法を学び、自動車校で自動車の整備や点検を学習したりして各校の持ち味を有機的に活用している。 かように教育環境を十分整えた上で、教育理念である「高い技術の習得と豊かな心の育成」の教育に邁進(まいしん)している。「高い技術」はいうまでもないが、「豊かな心」は四年制大学の卒業生などに劣らないよう特に心している。豊かな心とは、自分自身を真剣に省みる心、美しいもの・崇高なものに感動する心、世のため・他人のために尽くす心などとし、教養となる講演・講話や意義ある学校行事の実施、あるいは献血や数々のボランティア活動など生徒自らの実践でその醸成を図っている。 こうして成長した専門学校生は、技術者として県内外を問わず就職し、各界、各分野で活躍しているのである。高校生の絶対的減少や、経営・運営上の課題など、対応すべきことも少なくはないが、専門学校はこれからも社会の要求に応え、豊かな心を持った専門技術者を育成し、輩出する役割を担っていくのである。 (上毛新聞 2007年10月18日掲載) |