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ジャストミート店長 荒木 啓晴(前橋市堤町)

【略歴】 立教大卒。百貨店勤務などを経て2001年、楽天市場に赤城牛のネット販売店「ジャストミート」を出店。県の「ぐんまの名物商人」に選ばれている。

ぐんまネット構想

◎「小さな商店街」を再現

 何年も前から、群馬県内のインターネット店舗同士で組織的な「横のつながり」が持てないかと考えている。というと、「また大仰(おおぎょう)な」と笑われそうだが、現実社会でいう「地域に根ざした小さな商店街」をインターネット上で再現する、と考えてもらえば分かりやすいだろうか。

 折に触れ、知り合った方々にアイデアを聞いてもらい、講演会や取材の場でも訴えてきたことだが、ここにきて共感してくれる有志も数人現れ、夢物語が具体性を帯びてきた。

 私の構想では、メンバーは本当にやる気のある数人でいい。むしろ少数精鋭で、互いの販売スキル向上を目的に情報交換をしたり、写真撮影や画像加工などのプロを招いて勉強会を開いたり、メンバー同士が智恵を出し合い、コラボレーション企画を立ち上げたり。そんなインターネット通販に特化したパワフルな集団作りをイメージしている。

 参加者は全員が群馬県在住。これはメールなどを使ったインターネット上でのやりとり以上に、実際に顔を合わせて話をすることが重要だと考えるからだ。地域を限ることで、頻繁に集まることができるし、実際に会って話した方が展開も速くなる。たわいない雑談からヒット商品が生まれることもあるだろう。そのためには、日ごろから気心の知れた良好な関係を築いておく必要もある。やはり、会って話すことは大事なのだ。

 そして、何より地場的なつながりを示す「群馬」というキーワードが、集団の動機づけになる。これまでも、インターネットの世界では、複数の店舗が連携して幾多の取り組みが試されてきた。だが、その店舗間のつながりは、極めて希薄なものだった。

 たまたま講習会などで知り合った者たちが、相手の接客手法も商品の特性も吟味しないまま手を組んだり、あるいは既存客を相互に紹介し、新規客を低コストで増やそうとすることだけが狙いだったり。私もよく「グループに参加しないか」と誘われるが、すべて丁重にお断りしている。焦点のぼやけたつながりでは、グループ自体も長続きせず、結果、他店を紹介された客に迷惑がかかる。一度失った信頼を取り戻すのは容易でない。安易な連携は最終的に自分を追い込むだけだ。

 そうならないためにも、集団が活動を起こすにあたっては「分かりやすい大義」が必要だと思う。それは、今回のような有志による自主グループであろうと、企業であろうと同じだ。全員が「群馬」という地場的なつながりを持っていれば、自然の成り行きとして「地元群馬の発展に貢献しよう」という風土が生まれるだろう。活動を見守る側の客にとっても、私たちの取り組みを理解しやすいはずだ。

 とはいえ、挑戦はまだ始まったばかり。具体的な活動内容もこれから煮詰める段階だし、もちろん、どんな結末を迎えるかも分からない。だが、やるからには、インターネットの住人たちから「いま群馬が熱い」と関心を持ってもらえるくらいにはしたい。

 読者諸氏にもぜひ、ご期待いただきたい。






(上毛新聞 2007年7月16日掲載)