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◎多岐にわたる事業展開 「経営者協会って何?」と聞かれることがある。経営者協会について紹介したい。 設立したのは一九四○年代後半。戦後の激しい労働運動、労使紛争に危機感を抱いた経営者たちが資本主義を維持し、企業を防衛するために「日経連」を組織。「全国の経営者よ、結集せよ!」と財界人に呼びかけて、すべての都道府県に経営者協会が結成された。そのうちの一つが群馬県経営者協会で、一九四八年五月六日の創立である。 正式には「社団法人群馬県経営者協会」という。業種に関係なく、企業経営者を会員とする経営者団体であり、会員からの会費や独自に展開している教育訓練事業で得た収入で運営している。補助金をもらっていない純粋な民間経済団体である。現在、県内の主要企業約三百六十社の会員がいる。 かつての「日経連」は全国の経営者団体を集めた組織で、正式には「日本経営者団体連盟」といった。設立が「労使紛争」「労務問題」への対応にあったことから、マスコミから「財界の労務部」といわれていた。 他方、「経団連」は、鉄鋼、造船、電気、機械、自動車など基幹的な業界の経営者が中心となって結成したもので、「経済団体連合会」といった。経団連は大手の業界団体であり、政治献金をし、期待する政策を提言して、経済を動かしてきたことから、マスコミから「財界代表」といわれていた。 しかし、簡単に説明すると、日経連については、労使関係が安定してきて、労務問題専管団体といわれた組織の再構築が必要となった。他方、経団連についても、政治献金のあり方に対する社会的非難が強くなって、活動の在り方を見直すことになった。こうしたことから、日経連と経団連とを統合して、それぞれの長所を生かした新しい総合経済団体として「日本経済団体連合会」、つまり「日本経団連」が生まれた。 日経連と経団連の統合に合わせて、各地の経営者協会も単なる経営者団体から総合経済団体へと脱皮した。こうして、日本経団連は全国の経営者を結集させたことにより、日本全国を網羅する巨大な組織になった。それをブロックごとにまとめた「関東経営者協会」にも群馬県経営者協会は属している。 今、群馬県経営者協会は、総合経済団体として、労務問題や労使紛争の対策・処理、従業員の教育訓練、環境問題、CSR(企業の社会的責任)問題など多岐にわたる事業を展開している。ただ、労使関係が安定したといっても、それは集団的労使紛争が減少しただけで、個別的労務問題は年々、急増している。その点では長年培ってきた労使紛争への対策・処理の知識・経験が大いに役立っている。同時に、労務問題を起こさないための事前の対策としての教育訓練への必要性も増加する一方なので、今後も経営者協会の使命・役割は重要になってくるものと確信している。 (上毛新聞 2007年7月2日掲載) |