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◎難しい「カワウ対策」 帯状に群れをなしたアユが我こそはといわんばかりに川を遡上(そじょう)する様子はみごとなものだ。 東北の河川で幾度か目にした時は思わず橋の欄干から体を乗り出したものだ。 数年前になるが、水戸の梅祭りの終わりのころ、ひたちなかの海岸へ遡上直前のアユを確認しに行ってみたが、まだ魚体が透明で大きさは五―六センチぐらい、地元のおじさんたちが釣っていたのを見せてもらった。 この子アユが早い所では、三月末から五月にかけて、北の遅い所でも五月から七月ごろには遡上が始まり、それまでプランクトンなどを摂取していたものが、川を上りながら石などに付着した藻類を食べて成長していくのだが、その石に魚体をすりつけて摂取するシャープな動きはみごとなもので、石には矢羽のような食(は)み跡が残り何とも言えない感がある。 これらが全盛期になるとアユ数の多いところでは、石に食み跡が確認できないぐらいにきれいに食べてしまう、俗に言う“ベタなめ”である。 これらの状態を見極めてアユ釣り師がそのポイントをしぼり釣り竿を出すのである。 縄張りを持たないアユもいるが、縄張りを持つアユは背ビレがピンと伸びて実に猛々(たけだけ)しく、胸ビレ基部の後方の黄班がみごとなものだ。 やがて秋が深まると、魚体にいわゆるサビが出て雄雌ともに体色が黒っぽくなり、体表面がザラザラになって雄は追い星(白い点)が魚体に出てくると、産卵期を迎え、落ちアユとなって川を下り、下流域で産卵後、やがて一生を終える(まれに越冬するアユもいる)。 こんなアユに私も魅せられて、夏の風物詩でもあるアユ釣りにはまってしまい、シーズンになるとコイ釣りの合間を見ては楽しんでいる。 今でもアユ釣りを教えてくれた仲間には感謝しているし、例年、今の時季になるとアユ釣り師にとっては釣りの解禁日を目前にひかえて、情報収集や仕掛け作りに余念がないのではないかと思われる。 食してもおいしいアユ、群馬の県魚とも聞いているので特に親しみを感じている。 しかし、この身近なアユが大変なピンチに立たされて困っている。原因はカワウによる被害。各地区の漁業協同組合でも手をこまねいていたわけではなく、カワウ対策にはさまざまな方法で対処してきたが、思うような成果があがらない。最近になってやっと狩猟許可を得て、猟友会の手によって期間を定めて駆除しているわけだが、これもいろいろ規制があり、簡単にはカワウの数が減らない。 また絶えず? 卵を産むので、長野をはじめ幾つかの地域では、石こうで疑卵を作り巣の中の卵と交換して様子を見ている所も。 今では湖沼にまで被害が広がり、公園などでは樹木もフン公害の犠牲になっている。 時には自らが飛び立てなくなるほど魚を食べてしまう食欲旺盛なカワウ。アユにとっては放流、遡上に限らず、この時季は災難の日々が続く。 (上毛新聞 2007年5月17日掲載) |