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弁天通商店街青年会事務局長 山本 真彦(前橋市千代田町)

【略歴】 新潟市出身。中学時代、前橋市に転居。国学院大経済学部卒。農家での研修、フリーターを経て、2005年11月、弁天通りにアートカフェを開店する。

スノーボードの夏

◎まちとスキー場つなぐ

 七月二十日から、県庁・昭和庁舎の県立近代美術館特別展示室で、現代美術作家の白川昌生さんの展覧会が行われます。僕が所属するNPO環では、一昨年末に前橋で開催された第三回全国アートNPOフォーラム以降、白川さんの活動「場所、群馬」を具体的に支援していこうということで、HP制作や展覧会企画などのお手伝いをさせてもらっています。

 「場所、群馬」は、一九九三年に始まり、場所の特性、歴史、記憶などに注目して美術活動を行い、その建物、そのまちの歴史・記憶を呼び起こし、再生する美術の可能性を模索しています。

 以前では、前橋市の中心街にある明治時代の建物・臨江閣が結婚式会場として使われてきたという歴史になぞらえ、群馬の作家、群馬の食材に前橋の花であるバラをあしらった「バラのある結婚式という展覧会」を主催しました。

 そして今回の展覧会のテーマは「スノーボード」。群馬の冬の一大レジャーであるスノーボードは、ファッション、ミュージック、グルメ、サークル、コミュニケーションなどを複合的に含んだスポーツです。

 そんな冬の群馬の魅力を再発見し、まちとスキー場とをつなげられたら…。そして、参加協力してくれた人たちがアートと出合い、アートを認識するきっかけとなれば、という白川さんの思いから、「フィールドキャラバンプロジェクト」が立ち上げられたのです。具体的には、キャラバン隊を編成し、スキー場やまちのボードショップに実際に足を運び、スノーボーダーの生の声や、考えなどをインタビューしたり、一緒に滑ってみたりしたドキュメント映像作品を制作中です。

 またそれとともに展覧会では、大きな鉄の輪のオブジェに、八十枚前後のスノーボードをのせた立体作品を予定していて、現在、貸してくださるスノーボーダーの方を募集しています。もちろん傷つけたりしませんので、ご協力いただけると幸いです。

 四月初旬に行われた「群馬青年会議・ダベリ場」において「ぼくたちにとってのアート」という議題で話し合ったのは、アーティストにとって、アートは生きるための表現であり、それに興味を持って積極的にかかわることで、生きているというライブ感を味わえたり、人間関係や心を豊かにしたり、精神的に充足することができることです。

 そんなきっかけを与えてくれるアーティストの作品を実際に買うこと、活動を手伝うこと、それがアーティストを支えることになり、共に生きることで一層ライブ感を味わえること。そのライブ感という面白みが若者を引きつけ、アートを介した若者の交流や活動が結果としてまちにひとを呼び、まちの魅力を形成する要因になるのだということです。

 ですから僕たちは、アートを敷居の高いものとして肩肘ひじ張るのではなく、積極的にかかわっていくことで心豊かに楽しく人生を過ごせることになるのではないでしょうか。ぜひ、今回の「フィールドキャラバンプロジェクト」にご協力ください。メード・イン・グンマを一緒に実現していきましょう!






(上毛新聞 2007年5月10日掲載)