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◎もっと人的資源に目を 「安かろう・悪かろう」イコール、メード・イン・ジャパンが、古くから? 日本製品の代名詞であった。戦後の日本は、欧米からの技術導入や、米国のデミング博士らによる総合的品質管理の指導が功を奏し、世界に通用する技術や製品となった。これらとともに、モノづくりの陰には、一世紀を経過した特許制度の存在を忘れることはできない。 俗に「カラスが鳴かない日があっても」と言われるが、マスコミ、メディアなどで毎日のように、発明、特許、知的財産のニュースがない日がないくらい、話題性が高くなっている。このことは現在、国をあげて知的財産立国を目指している証しである。 創意工夫、発明発見、科学技術の分野に一層力を入れ、少資源国日本の成長と生き残りを図らなければならないと考える。 今、日本は、少子高齢化時代が進行中である。この機に当たって、日本の成長を継続させるには、さまざまなことが考えられるが、ここに人的資源活用の三試案を述べる。 その一つが中高年齢者の活用である。人生八十年時代ともいわれているが、団塊の世代(約七百万人)をはじめ、中高年齢者の知恵、経験、ノウハウなどを最大限に産業界、企業に活用することである。 団塊の世代や中高年齢者は、まだ気力、能力、体力のある現役年代である。この人たちの80%が働くことを望んでいる。 モノづくり立国日本が、今後、継続して成長するカギの一つは、ここにあるといっても過言ではない。 二つには女性の力である。現代では、女性の社会進出が一段と進み、さまざまな分野で大活躍されているが、産業界や企業では、まだまだ十分とは言えない状況にある。女性の潜在能力ややる気を最大限に発揮する環境やシステム、そして働きやすさを構築すべきと考える。 二十一世紀は、女性の時代ともいう。中高年齢者同様に重視すべき課題である。 三つには大学人の活用である。従来、国立大学や現国立大学法人は、象牙の塔意識があったり、敷居が高く、閉鎖的社会で、一般からかけ離れた環境にあった。しかし、バブル経済の崩壊を契機に、大学の研究成果を民間に技術移転し、産業の活性化を図ることになった。 大学が変われば日本が変わる。大学は最高の頭脳で、知恵の宝庫である。企業のニーズと大学のシーズ(種)を融合させ、官のサポートで新産業を創出し、新製品開発に役立てることが課題となった。中小・ベンチャー企業は、産学官連携を一段と進め、新技術や新製品を開発し、自立化とともに、生き残りを図らなければならない。 以上の三項目は、少子高齢化時代の対応策だけでなく、日本の成長と生き残りのためにも、早急に具体案を進めなければならない課題と責務であると考える。 (上毛新聞 2007年5月9日掲載) |