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群馬大社会情報学部教授 森谷  健(前橋市鳥取町)

【略歴】 同志社大卒、関西大大学院修了。2003年から現職。専門は地域社会学・地域情報論。観音山ファミリーパークで活動するNPO法人KFP友の会の理事長。

公園の管理運営

◎いくつかの悩ましさ

 指定管理者として県立観音山ファミリーパークを管理運営しているNPO法人の理事長をしています。理事長というと黒い革張りの椅子(いす)に座って、黒い自動車で送り迎えというイメージがあるかもしれませんが、多くのNPO法人には、そのイメージは当てはまらないことでしょう。私の場合、公園では、共用の事務机・いすを使っています。

 私は観音山ファミリーパークに毎日出勤しているわけではありませんが、数年間、公園にかかわることで、いろいろなことを考える機会があります。

 公園の職員がきちんと仕事をしていることもありますが、公園であまりごみを見ることはありません。ごみの持ち帰りに来園者の方がご協力くださっているためだと思います。「日本人は公共空間でのマナーが悪い」と言われたのは、もう過去のことなのかと思いたくなります。でも、同じ来園者の方でも、別の場合もあります。犬の入園はご遠慮いただいているのですが、繰り返し犬の散歩をされる方、トイレに使用済みの紙おむつを放置される方…。

 以前、公園のさまざまなルールについて意見交換する機会がありました。「いくつかの基本的な決まりを除いて、いっそ、ルールなどなくてもよいのではないか」という意見もありました。確かに、マナーがよければルールはいらないでしょうし、マナーはルールでは縛れないでしょう。しかし、なるべく多くの来園者の方に公園を楽しんでいただくためには、やはりルールも必要と思えます。「ルールとマナー」、悩ましい問題です。

 私たちはNPOです。NPOは意欲と善意で成り立っているといえるでしょう。その意欲と善意が、活動のかなり厳しいボトルネックになると、私は予想していませんでした。

 NPOの会員として法人に参加し、公園の管理運営にかかわる人はもちろんのこと、法人が雇用する公園職員とも公園の管理運営についての意欲や善意を共有していると考えています。管理運営について意見が対立した場合、ピラミッド型の組織や雇用・被雇用関係だけで成り立っている組織である場合よりも、私たちのNPOの方が、対立の解消は、理事として苦しいものになります。

 みなさんが公園管理運営に意欲をお持ちで、しかも善意に基づいて行動されています。その意欲と善意に軽重を付けることは大変に難しいことですし、善意に基づいているからといって、そのすべてを管理運営に反映させることはできません。このことが、組織としての意思決定を遅らせてしまうことも、あります。「意欲・善意と組織的意思決定」、これもまた、悩ましい問題です。

 私の愚痴におつきあいいただいて、ありがとうございます。でも、観音山ファミリーパークは、こんな愚痴がたまっている公園ではありません。五月十九日と二十日には「県民参加フェスタ」を行います。ぜひ、足をお運びいただき、NPOが管理運営している公園をお楽しみください。お待ちしております。






(上毛新聞 2007年4月30日掲載)