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かのはら・ふれあいネットワーク事務局長 新井 恒好(富岡市神農原)

【略歴】 高崎工業高建築科卒。一級建築士事務所長。1985年に県少年警察協助員を委嘱され、現在は県少年補導員富岡地区少年補導員連絡会会長を務めている。

犯罪の抑止力

◎防犯活動に積極参加を

 「一人でも二人でもいいじゃないですか、都合のつく人たちであしたからでも始めましょう」。松野法司副会長の一言で決まった。神農原地区自主防犯パトロールの産声である。これは、二〇〇三年七月の「かのはら・ふれあいネットワーク」理事会でのことである。

 富岡警察署ではこの年の六月から、管内で発生した犯罪を防災無線で住民に知らせ、注意を呼びかけるようになった。すると、この防災無線で神農原地区での泥棒被害が連続して報じられたのである。明るく住みよい地域づくりを目指して活動を続けるわれわれにとっては由々しきことであり、早急な対応が必要であった。

 「まず実践」をモットーとする当会としては衆議一決し、冒頭のような仕儀になったわけである。五と〇のつく日に実施することとし、会議の出席者を中心に住民の協力を求め夜八時から約一時間、徒歩での地区内巡回が始まった。

 その一方、対策会議ではふれあいネットの構成団体でもある神農原自警団に協力を要請し、この自警団を中心に自主参加の住民を募り、蛍光チョッキ、腕章、懐中電灯などの用具を調え、九月から正式にスタートした。パトロールの主眼を地域住民の防犯意識の高揚におき、活動への理解と協力をチラシや回覧板などで繰り返し呼びかけることとした。自主参加なので人数は定まらない。多いときは二十人、少ないときは三人。参加者の数に一喜一憂しながらも活動は続いた。

 そして一年余りが過ぎたある日、富岡行政事務所から声が掛かった。治安回復対策事業として「かのはらモデル地域防犯ワークショップ」を企画したいというのだ。協議の結果、われわれの活動が少しでもお役に立てるなら、ということで依頼を引き受けた。富岡警察署、富岡市行政課との連携事業である。市内の防犯関係団体の代表や区長さんなど六十人余が参加した。参加者に神農原地区のパトロールを体験していただき、その後、日を改めて富岡警察署会議室で意見交換会を行うというものであった。意見交換会には当会からも十人が参加、活動の趣旨や立ち上げの手法などを説明した後、グループに分かれ、活発な意見が交わされた。終盤には、「自分たちの地区でも早速活動を始めます」と決意表明をする区長さんが現れるなど大変盛り上がった。事実これをきっかけに市内各地に自主防犯パトロールの輪が広がっていった。

 その翌年、ふれあいネットでは約二年間の活動実績を踏まえ「安全安心委員会」を設置し、登録を呼びかけた。結果、二百七十八世帯、三百二十六人の登録を得た。これは全世帯の約45%にあたる。いつでもパトロールに参加できる人ばかりではないが、防犯活動に参加協力したいという意識を持つ人たちの数である。防犯パトロールを実施しているから安全、というのではなく、その活動を地道に続け地域住民の防犯意識を喚起し高めることが犯罪の抑止力になるのではないか。気楽に、気長に、危険なく、地道な活動を続けていきたい。






(上毛新聞 2007年4月12日掲載)