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◎賢い選挙民になるには 今年は、統一地方選挙の年。第一弾の県議選は間もなく投票日となるが、明るい選挙を実施するため、候補者や関係者は、公職選挙法をよく読んでから選挙活動を開始し、選挙カーに乗り込みたい。私には、思い出したくない選挙の思い出がある。ある小学校に勤務していたころのことだ。 四月のある朝。全校児童が校庭で校長先生の朝礼講話を熱心に聞いている最中、候補者を乗せた選挙カーが大きなスピーカーの音とともに学校に近づいてくる。校庭の校長講話は、候補者のスピーカーの音と重なり聞こえなくなる。突然、朝礼の雰囲気が暗くなった。 司会をしていた私はたまらなくなり、校門に走り、両手をクロスにして、校門に近づいてくる選挙カーに向かいスピーカーの音量を下げるよう要請した。しかし制止動作を、応援の動作と勘違いした候補者と関係者が「手を振ってのご声援ありがとうございます」と大きな声で連発した。 公職選挙法では「学校の周辺、病院、診療所など療養施設の周辺においては、静穏を保持する」よう求めており、連呼行為の禁止を規定している。素直に読めば学校での学習の権利や病院などでの療養、静養を法律で保障していることが小中学生でも容易に分かる。 「法は、道徳の最低のものである」と定義されている。道徳として最低の、学校や病院などの周辺の静穏保持規定を守れない候補者が、学校教育の重要性や福祉の充実を訴えても住民や国民の共感、賛同は得られない。 候補者は最低の条件として、公職選挙法や関係法規・条例をしっかり読み、言うことや実行が伴う言行一致で、日常活動や選挙活動に取り組まれることが求められる。 われわれ選挙民は、候補者の日常の活動や選挙運動での公約や主張をしっかり把握し、国民、県民、市町村民のことを第一に考え行動できる人に一票を投じたい。 ある国語辞典を編纂(へんさん)した国語学者は「教育のねらいは、よき選挙民を育成すること」を持論としていた。われわれ選挙民は、この統一地方選挙を、さらによき選挙民になるための機会や場とし、候補者の日常の活動や主張、選挙戦などでの訴えをしっかり見たり聞いたりし、貴重な投票の判断基準にしたい。 選挙民の目が肥えれば、良き選挙民となり、良き議員を選べ、より良き地方政治や国の政治の発展が期待できる。政治が良くなれば、国民の生活も安定し、生活の向上、発展、充実にもつながる。したがって、自分の一票が自分の生活に戻ってくることが理解できる。 賢い選挙民になるのは、実に簡単なことだ。法や条例を作る議員に、法や条例を破る人や破りそうな候補者を選ばないことだ。それには、まず投票日に投票所に向かい、選挙権という大きな権利を行使することだ。 (上毛新聞 2007年4月6日掲載) |