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◎環境の循環作用が必要 桜開花が聞こえてくる今日このごろ、暖冬で終わった冬、寒がりの私には大変ラッキーな年であったと喜んでいたのだが、この暖冬はさまざまな地球異変の忠告であることを知らされた年でもあった。地球の温度が四度上昇すると三十億人が水不足になり、地球上の生命体の減少が始まるとのこと。最近では環境エネルギー、CO2の排出防止のための新たなエネルギー源としてエタノール燃料(トウモロコシ原料)が石油代替の原料として見直され、世界的規模で穀物の生産拡大が進んでいる。 ところが、この穀物がエネルギーとして使われることで本来の穀物が食料としての役割を失い、穀物価格の高騰に拍車を掛け始めている。アメリカ中部の大穀倉地帯の地下には日本の約三倍の面積に匹敵する貯水地下水が何万年も経て蓄えられ、乾燥地帯の穀物生産に貢献している。またこの地帯の農法はサークル循環農法が取られ、地下水を汲(く)み上げてサークル状に形成された土地に地下水を噴霧。その染み込んだ水がまた地下に戻る循環作用で、巨大な穀物生産地帯が維持されてきた。 近年気温の上昇により、循環作用が働かなくなり、地下水が三分の一までに激減し始めているという。地上では砂漠化が進み、次々とサークルが機能しなくなって収穫が激減。深刻なのは、この穀倉地帯から収穫される輸出の八割が日本向けであるとのこと。このまま乾燥が進むと、日本人は、豆腐、納豆、醤油(しょうゆ)、味噌(みそ)すべてが食べられなくなる。決して大げさではなく、現実の問題となってきている。 一カ月前、アメリカより来られた鶏卵の生産者と話す機会があり、アメリカ穀物事情を聞いてみた。今、米国は有機穀物の取り組みが活発化、一方で温暖化事情も加わり生産量が不足。従来、輸出されていた有機の原材料自体が輸出規制になりつつあるとのことで、日本向け有機穀物は、かなり影響が出ると言われていた。 燃料エネルギーの確保が果たして私たち人類に不可欠なものなのか? 車を走らせることで食料が不足するなんて。車が走らなくなったら、排気ガス減少、事故減少、道路渋滞減少、銀座通りを馬車が走り、タクシー代わりに人力車が再登場といったようなことが現実となるかもしれない。便利さ優先、文明科学の進歩はいつか地球破壊を引き起す。思うに一度地球は壊れる運命なのでは。その日は何百年後か、数年後か分からないのだが。 地球を守るには環境の循環が必要といわれている。水と土の歴史でたどると、地上に広がる山々は百年かけて一センチの腐葉土を作るといわれており、自然の循環作用をかくことはできない。人間がつくり上げた温暖化は自然の循環作用の復帰なくして戻すことは不可能だ。アメリカ先住民は「人間は地球の自然を守るために生まれてきたのである」と言い伝えている。人間が地球を破壊し始めている。 (上毛新聞 2007年3月25日掲載) |