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◎高崎だるまが寺守る? 特許庁は昨年十月二十七日、地名と商品・サービス名を組み合わせてブランドとして活用する「地域団体商標」(地域ブランド)の登録第一弾を発表した。「京人形」や「長崎カステラ」など五十二件の認定の中に、群馬県からは唯一「高崎だるま」が認定された。この結果、各地の特産ブランドが保護されて類似商品を排除できることから、地域活性化に一役買うと期待されている。 この「高崎だるま」は少林山達だる磨ま寺九代東獄和尚の伝授で山県友五郎が作り始めたと伝えられている。だるまの眉まゆが鶴を表し、口髭(ひげ)が亀を表す縁起のよい顔の福入りだるまとして名が知られている。 高崎だるまと深い関係にあるこの少林山達磨寺は、実は地すべり地の中に存在している。一九五八年九月十八日の台風21号による豪雨で高崎市鼻高町寺沢地区に地すべりが発生した。六一年二月には地すべり活動が活発化したため、十二軒の家が移転を余儀なくされた。しかし、山腹にある少林山達磨寺には何の変状も認められなかったという。 度重なる少林山地すべりの被害に対処するため、県では地すべり防止区域を指定して、対策工事にとりかかった。そして六〇年度から始められた対策は、九九年度をもって寺沢地区や赤岩地区など防止区域全域の工事がほぼ完成、地域の安全が確保されている。 少林寺地すべりは古くは江戸時代もしくはそれ以前に発生したと考えられている。特に赤岩地区では一〇年八月の豪雨で大規模な地すべりが発生し、対岸の藤塚地区へ氾濫(はんらん)、十八戸の家屋が流失し、死者三人という被害が生じている。また、二〇年六月の災害時には碓氷川へ土砂を押し出して天然ダムを形成し氾濫を生じさせている。対岸には幹線道路の国道18号が走っており、交通や経済への影響は計り知れないものがある。すなわち、地すべりという現象は動きは遅いが、われわれ人間生活への影響はとても大きい。その地すべり現象は主に雨や雪解け水が原因となって発生する。それ故、台風や前線性の豪雨時と融雪時に発生することが多い。特に、融雪に伴う地すべりは最近五カ年で九十七件発生しているが、そのほとんどは三月と四月に集中している。まさにこれからの時期に融雪による地すべりが多発するのである。 一度動いた地すべりは再移動の可能性が高いことから、地すべり地形から発生しそうなところがほぼ推定できる。県内には人家に影響を与える恐れのある地すべり危険個所が二百十三カ所もある。一度、自分の住んでいるところが地すべり地かどうか県に聞くなどして調べてみることをおすすめする。そして、安全な場所を知っておくことが大切である。 地すべり地内であっても少林山の達磨寺のように、先人が地盤のよい、安全なところを選んで寺を建立していると被害は生じなくてすむ。もっとも、達磨寺の場合は「高崎だるま」が寺を守っているのかもしれないが。 (上毛新聞 2007年2月28日掲載) |