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◎メンバーの知恵生かす 物好きと言われる者はいずこにでも必ず存在するものである。またこういう連中がいるからこそ世の中が成り立っている面もあるということは否めない。ただし当人たちにその認識はほとんどないであろうが。 さて前回(昨年十二月二十三日付)登場した梅ばい淋りん塾の連中、行く手に五十路の道標が見え隠れするころになると、彼らの子供たちはようやく親の手から離れ、自立への準備運動に入りだす。しかし二世たちはどういう訳か、親に似ず品行方正くそまじめ。親が親だからこそ、反面教師が効果的に作用したのであろうと人は評するが、もちろんこれに反論できる者はだれ一人いない。 塾長が桐生市梅田の地に山荘を手に入れたのはちょうどそんな時期である。そこに梅淋塾の連中が待ってましたと顔を出し、瞬く間に高校時代の同期生たちをも巻き込んだ大きな輪ができ上がってしまった。おのおのの顔ぶれをしみじみ眺めると、さすがに中年のぽんこつ面は仕方ないが、その職業はさまざまであり、しかも専門職が極めて多いのは何かにつけ誠に便利である。 ひと回り大きくなった集団は新しく「梅田倶く楽ら部ぶ」の名の下にこの山荘を拠点として、実にさまざまな面白い活動を展開する。炭を焼いては酒を飲み、語り、茶摘みをしてはそばを打ち、そして飲み、語り、コンサートを開いてはもちろん飲み、はしゃぎまくる。そんな集まりの中からグループの持つ知恵と技を生かし、面白い街おこしができないだろうか、という思いが芽生えてきたのも自然の成り行きであろう。 彼らは「自分たちの持つキャラクターを生かしつつできる、地域に溶け込んだ活動こそが、真の街おこしにつながる」などと言うが、要は梅田倶楽部のあの面白さ、楽しさ、そして信頼と絆きずなを、そのまま街に持ち込もうとしただけなのである。 団塊世代の彼らが、リタイア後の居場所づくりを視野に入れ、現役時代に、何か面白い、しかも本気のことを始めたいと、熱く語り始めたころ、その思いを一気に実現させることになったのが、経済産業省の市民活動活性化支援事業なるものであった。 難関をさりげなくくぐりぬけ、モデル事業に採択されたのも、メンバーの知恵と技を生かした結果であろうか。 こうして「NPO法人よろずや余之助」なる一風変わった名の店が誕生し、ここが本格的な市民活動の拠点となるのである。ここでメンバーたちは、行政にもできない、企業にもできない、NPOだからこそできる、余之助独自の手法による、面白い市民活動を展開することになる。 地域の物好きたちよ、世間はどうやらあなたたちの出番も待っているようだ。この連中のような地域活動を、時代は今まさに望んでいるのではないだろうか。 (上毛新聞 2007年2月25日掲載) |