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◎家族の絆を大切に活躍 かつて南米に移住された人たちの家を訪ね、通された広間でよく目にするのが天皇ご一家と先祖の写真であった。移住した国は、いろいろな国からの移民による多民族国家であって、写真は日本人であることをいやおうなしに意識させられ、家族の大切さを痛感したことによる敬慕の念から掲げられていたのだ。 永住権を持っての渡航は、政府間移住協定に従って行われ、そのほとんどが農業であったことから、成人の働き手が三人以上の家族構成であることを求められた。そのため、兄弟や親族の中には他人にまで賛同を求めて希望をかなえた者も少なくなかった。 ところが不十分な合意であったのか、現地に着くと、それぞれの思いからか、せっかく家族を構成しても離散と再構築を余儀なくされた家族は多く、家族の絆(きずな)の大切さを知るところとなった。 日本人が集まると、日本人会が組織され、県人同士は県人会を組織。故郷をしのび、互いに助け合う活動をしている。また、会館を造り、日本の持つ素晴らしい伝統や文化を広く啓発普及するほか、二世以下の教育に力を注いでいる。 平成十七年八月二十八日、サンパウロのブラジル日本文化協会記念講堂で在伯群馬県人文化協会創立六十周年ならびにサンパウロ州との姉妹州県提携二十五周年式典が五百人以上の会員が集まって開かれた。私も、県議会議長や県出納長ら本県からの慶祝団三十五人とともに参加した。 式典は、日伯両国歌斉唱にはじまり、亡くなった開拓者の霊への黙とう、来賓の祝辞、功労者・高齢者の顕彰とその謝辞、県歌斉唱、万歳三唱等があって、閉会となった。なかでも、かつて本県に留学したり、研修生として勉強した白田ネウザさんの本県の慶祝団に対するお礼の言葉は、参列者に感銘を与えた。その一部を原文のまま紹介する。 「私たちに教育、習慣、特に日本語の習得にたゆまざる努力と犠牲を惜しまなかった祖父母、両親にあらためて感謝の言葉を申し上げたいのです。なぜなら、これなくしては日いずる国日本をこの目で見たことの喜びも、日本で私たちが受けることができたすべての教えを、自分のものにすることは到底できなかったことでしょう」「私たちを育はぐんく でくれた世代、これからはその世代に代わって私たちがこれからの世代を背負い支え、そして育んでやらねばならない責務があります」「誇りある素晴らしいブラジルにおける群馬県人の子孫の歴史をこれからも受け継ぎ、次世代にも伝承していくことができることを願い、このような機会を与えてくれた母県の関係者や先祖に謝意を述べたい」 ブラジルの日系人は百五十万人を数え、来年は「日本移民百周年」という記念すべき年を迎えようとしている。本県からの移住者は三千人を超え、故郷を愛し、家族の絆を大切に国際人としての子弟の教育に頑張っている県民のいることを理解してほしい、と願っている。日伯友好交流の増進のために! (上毛新聞 2007年2月12日掲載) |