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◎住民参加の観光開発を 県が一般公募により行政事務所単位で組織する「県自治ネットワーク」の渋川グループに参加してから四年目を迎えた。この間の収穫は、広い地域との交流と「元気の出るまちづくり懇談会」でのたくさんの仲間との出会いや、ふれ合いが数多く実現したことである。 十七年九月には、自治ネット渋川グループから姉妹組織として渋川地域振興を目指した渋川広域まちづくりネットワーク協議会(通称・まちネット)の行動隊が誕生した。この組織は自治ネット渋川グループと両輪で活動し、メンバーは二つの組織に在籍して活動する者、自治ネット退会後も継続して「まちネット」のメンバーとして活動する者、また地域で伝統文化を継承している団体や商店街の関係者、その他の団体並びに個人などである。 新渋川市が誕生して間もなく一年を迎え、なぜか周囲の市民からは合併後間もないために、新しい行政になじめない声が多々聞こえてくる。幸いにして、われわれは二年前の「まちネット」の設立でメンバーが一足早く地域間交流を活発にしながら意気投合し、散策会や寺巡り、地場で生産された食材による食談会の開催などへの参加を呼びかけて、多くの方々と交流を深めてきた。合併もその延長線上にあって、われわれにとって抵抗は皆無だった。 交流を深めるたびに、利根川や吾妻川を境界線として、長年、西と東で生活してきた歴史や文化の相違点を知ることがある。各地区では、先祖から引き継いできた昔ながらの伝統文化を、大人が子供たちと一緒になって大切に継承している姿を再発見した。また、渋川市北橘町で竹細工の伝承活動をしている竹親会の実習会に参加したり、同町の八崎二区・土曜会主催の歴史散策の行事にも参加して、地域との交流を深めている。 過日、伊香保温泉のホトトギス駅から榛名山頂の見晴駅までロープウエーに乗って、来年に開催される「全国都市緑化フェア」のサテライト会場になる上の山公園「ときめきデッキ」から大パノラマを見た。正面に赤城山、その奥に日光白根山。さらに、武尊山・谷川岳・草津白根連峰を一望し、眼下に利根川と吾妻川を眺める風景は、パラグライダーで大空を飛んでいるような絶景だった。 この地は四季を通して、観光資源が豊かである。昼間の大パノラマは、夜になると満天の星がキラキラと輝き、夜景が美しい。昔の旅人は湯治を楽しみに、温泉を求めて訪れたことだろう。 今は車社会となって、地域に点在する観光資源と温泉を生かしていく時代である。幸いにも新渋川市には各地域に日帰り温泉と名湯・伊香保温泉がある。しかも、花と緑が豊かな自然環境があり、歴史的、文化的なものも数多く存在する。まさに観光資源と温泉が共存している。人とのふれ合いを深めながら、住民参加による観光開発を新しいまちづくりの基盤としていきたい。 (上毛新聞 2007年2月9日掲載) |