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テクイ総研代表 平野 欽一さん(伊勢崎市今井町)

【略歴】 日本大法学部卒。サンデン知的財産部長を経てテクイ総研を設立。知的財産戦略や産学官連携、人材育成などをテーマに活動、著作もある。元群馬大客員教授。

中小・ベンチャー企業

◎技術者は不屈の精神を

 「1%のひらめきと99%の汗」。これは、蓄音機など数多くの発明で知られるアメリカの企業家で、二十世紀最大の発明家といわれたトーマス・エジソンの名言である。

 俗に、発明はひらめきと汗(努力)の結晶である。そこで、二十一世紀の日本に目を転ずると、成長路線をとる産業経済だけでなく、あらゆる面において大変革期であり、正念場であるといっても過言ではない。

 この機に、日本企業の99・7%を占める中小・ベンチャー企業と、そこの技術者はいま何をなすべきか? 心して考えるときに、最も重視すべき課題である。

 すでに故人となられた松下幸之助氏(松下電器産業)、本田宗一郎氏(本田技研工業)、井深大氏(ソニー)らは、無から有を生み出すことを心掛け、町工場から、今日の日本を創つくった代表的産業人で、起業家の先駆者である。

 もとより、わが国はモノづくりを基本とし、進路として二十一世紀の産業経済の発展に対応しているが、このモノづくりの源泉である発明、新技術、新製品なくしては「仏作って魂入れず」になってしまう。

 モノづくりは、人づくり、地域づくり、国づくりの基本であり、基礎である。

 そこで、企業の礎の構築を背負うのが中小・ベンチャー企業の技術者であると考える。

 なぜなら、難しいこと、新しいこと、大きいことなどに挑戦し、技術革新を図るからである。二十一世紀は、強小(オンリーワン)が弱大に勝るという。

 すなわち、中小・ベンチャー企業こそ日本を背負う第一人者であり、かつ技術者は二十一世紀の主役である。

 そこで、技術者について考えてみると、まず第一に、技術者とは目的意識を持って価値ある仕事をする人(常に何をなすべきか、心して仕事に挑戦する人)、第二に独創的、創造的な仕事をする人(従来にないモノを創り、人と異なる独自のことをする人)、第三に発明をする人(産業上、利用することができ、新規性があり、技術的レベルの高い技術的思想の創作をする人)、第四にIT(情報技術)などを活用し、新技術、新ソフト、新製品などを開発する人(二十一世紀に通用する独自の技術、ソフト、モノを創る人)、第五に企業貢献と社会貢献をする人(社会の公器である企業の存続発展と、社会にさまざまな面で貢献する人)であるといえる。

 技術者は、日進月歩から秒進分歩へとスピード化した技術革新に挑戦し、重責を果たしていただきたい。そのために、一例として五十音のカ行、すなわちカ=環境、キ=技術、ク=暮らし、ケ=健康、コ=高齢化―を開発テーマに、ヒントに人(他社)のまねをしない(独創)、失敗を恐れない(チャレンジ精神)、研究技術開発をあきらめない(信念・執念)不屈の精神を持つことが大切と考える。






(上毛新聞 2007年1月25日掲載)