視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
|
|
◎新たな波動創り出そう 君のゆく道は はてしな く遠い だのになぜ 歯をくいし ばり 君はゆくのか そんなに してまで 今から、四十年前の一九六六年から六七年にかけて、この主題歌とともに当時の多くの若者の共感を得た連続テレビドラマ≪若者たち≫(フジテレビ系放映)。差別、反体制、労働争議など、社会の荒波にもまれながら、両親を亡くした佐藤家五人のぶれない兄弟愛が白黒画面の中で描かれ、見ている私たちと等身大の登場人物の言動に胸を熱くしたことを思い出します。 時代は、高度成長期のピークを迎えていました。四七年生まれの私は、いわゆる<団塊世代>(四七―四九年)のトップバッター世代になります。戦後まもなく生まれた私たちは人数が多く、学齢期には一学級六十人とか、一学年の学級数が十数クラスとかの過密教育を受けて育ちました。 「大量生産」「東京タワー」「巨人・大鵬・卵焼き」―。この時代をほうふつとさせる言葉や出来事には、私たち自らの体験が重なり、つい感慨深くなってしまいます。 幼少時こそ、貧しく物のなかった時代でしたが、成長するに従って、家の中には洗濯機、テレビ、冷蔵庫、炊飯器等々の電化製品が順を追って入ってきました。一つ一つの製品の購入はその都度、わくわくするような出来事でした。 昨日よりは今日、今日よりは明日の生活がよくなる、と当たり前のように信じて生きてきたこの時代は、もしかしたら他に類を見ない経験をさせてくれたのかもしれません。 そして、未曾有の受験競争、学園紛争、狂乱物価、企業戦士、ニューファミリー、第二次ベビーブーム、バブル崩壊…。 二〇〇七―〇九年になると、団塊の世代の中の二百八十万人以上が定年退職期を迎えるそうです。ある雑誌に「衝撃予測 バラ色の未来か、それとも転落か 十年後の団塊」と題して、年金制度、熟年離婚、第二の仕事、がん克服、老老介護、墓と死に方等々について項目が並べられ、論じられていました。問題山積です。 しかし、私たちの世代は通過するそれぞれの年代で、常に社会を大きく揺さぶる波風を起こしながら、エネルギッシュに乗りこなしてきました。 その私たちが、いよいよ自由な時間を手に入れ、円熟した人生に向けて歩を進めようとすれば―。それはまた、新たな社会を変え得る大きな波動(ウエーブ)を創つくり出すことになる、と私は確信しています。 (上毛新聞 2006年12月7日掲載) |