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◎町民の理解と参加を わが町の文化協会は発足して二十七年になる。 かつては道楽者の集まり、と陰口をたたく人もいたようだった。 文化協会費は加盟団体から徴収されるのに、体育協会費は各世帯から徴収されている。町民の意識に差があるとすれば、このあたりにも原因がありはしないか。 そこで町民が真に心の豊かさを求め、進んで会費を納めてもよい、と納得してくれるにはどうしたらよいか。陰口を認めるわけではないが、もう一度原点に戻って考えてみる必要もあると思う。 そこで、まず本会の目的だが、「町の芸術文化振興を図るため、加盟団体の連絡調整を図り、豊かな郷土づくりに寄与する」ということである。 そして、この目的に賛同する加盟団体数は約四十、会員数は七百人弱である。 各団体の中でも百人を超す会もあれば十人程度の団体もあり、当然、活動内容、回数も違う。 団体ごとに年に幾度か発表会や展示会を開催する一方で、町民文化祭だけが発表の場という団体もある。 このような加盟団体がどんな形で協調し、刺激し合えるか。さらに、より多くの町民に参加してもらえるか―が大きな課題である。 当然、会員間の意識の違いもあり、取り組む姿勢にも差がある。 こうした団体や会員の心を、まずつなぎ合わせる「鎖」のようなものが必要と考えた。 そこで、「鎖」の役割を果たすものは何か。価値観を共有できるもの、専門的な知識もいらず気やすく、そして楽しめるものはないものか、と検討を重ねた。 その結果、映画はどうだろうとの意見があり、映画会を開催することにした。 総合芸術の粋を結集した優良映画を、広い会場で大勢の人々が一緒に大画面、大音量で観賞する。文化活動の分野は異っていても、まず共通の話題が生まれる。知らない人同士でも、お互いに親近感を覚えるきっかけともなるだろう。 だが、世の中に日常、映像がはんらんしている現在、今更何で映画なのか、と言われるかもしれないが、やはり大きなスクリーンで、大きな音声で見ると迫力が違う。 実際に映画会を開催してみた。初めてのころはチケットを売るのに苦労したが、それでも大勢の人々が見にきてくれ、回数を重ねるごとに手応えを感じている。 さらに文化協会の趣旨を地域に広める一環として、昨年から映画会の「出前」を始めた。地区公民館に出かけて、その利用者団体の皆さんにもお手伝いをお願いしている。 「同じ映画でもテレビで見るのとは迫力が違う、感動しました」と喜んで帰っていかれたご夫婦もいた。 一人ずつ、いや一人でもいい。文化協会への理解が増えてくれるのを楽しみにしている。 (上毛新聞 2006年12月6日掲載) |