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◎若者に社会参画の場を 二〇〇四年七月、高経大大宮ゼミが中心となって立ち上げ、NPO法人として正式に活動を開始したDesign Net-works Association(以下DNA)。 なぜ、若者のキャリア支援と地域活性化に取り組むNPOをつくりたいと思ったのか。その理由の一つは「社会力」(人とかかわり、よりよい社会をつくり、絶えず変革させていく力)、「キャリアデザイン力」(生き方や、働き方を自らデザインする力)がなかなか育たない社会構造に対する問題意識からである。 今の学生は、学校生活を中心とした同世代との付き合いがほとんどで、社会人との接点があまりにも少ない。以前は家庭の中でも、地域の中でもそれぞれ役割があり、異世代との協働の場があった。しかし現代の若者は、パソコンや携帯電話といったコミュニケーションツールも助長し、家庭・地域の役割を担うことなく、実社会から距離を置いて生きることが可能である。 地域力の低下が一層進み、モデルとなる大人との接点も少ないため、働くことのイメージがしにくくなっているのだ。自分のキャリア像を描くためには、遊びやアルバイト(それらも、もちろん重要である)だけでは不十分である。 ただ、今の社会構造をつくった大人にも大きな責任がある。今の若者は、大人が考えている以上に自分のことを真剣に考えている。気持ちはあるのに前進への一歩が踏み出せない、踏み出すきっかけが少ないのだ。そういった若者の背中を押す役目、きっかけになればと思い、若者の社会活動支援を始めたのである。 DNAをつくりたいと思った理由の二つ目に、個人的な強い思いがあった。これまで、特に大学一―二年までは、自分の興味がわくもの、やりたいことにいろいろ手を出してきた。しかし、そのほとんどが中途半端に終わり、大学四年間の中で何か一つでもいいから本気で、夢中になって、納得のいくまでやり遂げたい、形に残せることをやりたいと思っていた。そんな折に大宮ゼミに入ったのが、社会活動にかかわる直接的なきっかけとなった。 さまざまな活動を通して多くの社会人に出会うことで、自分というものを真剣に、本気で考えはじめ、大学一年間だけで終わらせたくないという気持ちが日に日に強くなった。これまでゼミ単位で取り組んできた活動を、研究室の枠を超えて、大学の枠を超えて、地域の枠を超えて、多くの点在する若者の力を、線として結び、面として地域に波及させたいという個人的な思いが、DNA設立の理由である。 DNAの三年間の活動を通し、感じた確かなものがある。それは、地域・社会に密着し、若者の社会活動参画の場をつくる、さまざまな出会いやきっかけを提供できる社会的装置が、今日の孤立しやすい若者には必要であり、現代社会に求められている仕組みであるということ。「若者による」キャリア支援と地域活性化、言い換えれば、共に学び、育ち、巣立てる場が、今日の地域社会には必要なのである。 (上毛新聞 2006年11月28日掲載) |