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◎高めたい参加への機運 今、日本中で「安全・安心の街づくり」をスローガンに、明るく住みよい地域社会を目指してさまざまな活動が繰り広げられている。その内容や取り組み方は多種多様であるが、富岡市でも地道な活動を続けている住民団体がある。私は「視点」執筆のこの機会に、<かのはら・ふれあいネットワーク>の立ち上げから現在に至るまでの活動を紹介するとともに、これからの地域活動の在り方、そして、今私たちにできることは何かを考えてみたいと思う。 <かのはら・ふれあいネットワーク>。上毛新聞をはじめ、群馬テレビや他の報道機関でも何度か報道されているので、名前を小耳にはさんだ方もいるかもしれない。平成十三年七月、富岡市の西部に位置する神農原地区で住民有志の発議により自主的に設立された。私はこの会の事務局長を務めている。事務局長といってもほかに人がいるわけでもなく、ときどき妻が配り物や印刷を手伝ってくれる程度である。 「自分たちの郷土は、自分たちで守り育て、創つくっていこう」を基本理念とし、「まず実践」を合言葉にさまざまな活動に取り組んでいる。この活動の模様や成果については、おいおい紹介することとして、私がこの会の立ち上げに参加し、事務局を引き受けたのにはそれなりの理由があった。 私は、昭和六十年に県少年警察協助員(現県少年補導員)に委嘱され、現在も活動を続けている。そのほかにもPTA活動や富岡市青少年補導員等の活動を通して感じたことは、自分たちの活動が他の住民にうまく伝わらないということである。最近では社会的な防犯意識の高まりもあり、ある程度認知されるようになったが、数年前までは活動の内容はもちろん、そういう活動をしている人がいることさえ知らない人が大半ではなかったか。そういう状況の中では大きな成果は期待できない。 また、こういうこともあった。私が同市青少年補導員当時、関連団体と連携し青少年健全育成や薬物乱用防止をテーマにした講演会を数回開催したことがある。立派な講師を招き、宣伝用のチラシを八千枚も印刷し、学校や公民館をはじめ、さまざまな組織を通して市内全域に参加を呼びかけた。参加者は二百人程度、それも顔見知りの役員さんが大半である。主催者としてあいさつに立った私はあまりの空席の多さに、用意したあいさつも忘れて苦言を呈したものである。 このとき、私が感じたのは住民の社会活動への参加意識の低さであり、この状況を変えなければ世の中は変わらないだろうということであった。それには、身近なところで時間をかけ、地域住民の手が届く範囲でのきめ細かな活動による触れ合いの中で人間関係を構築し、地域活動への自主参加の機運を高めていくことが肝要であり、急務であろう。 これを実践したのが〈かのはら・ふれあいネットワーク〉だ。設立から五年を経て、緩やかではあるが住民の意識も変わりつつある。 (上毛新聞 2006年11月22日掲載) |