視点 オピニオン21
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前橋るなぱあく園長 佐藤 恭一さん(前橋市城東町)

【略歴】東京大教育学部卒。元県庁職員。2人の息子を育て、父と母の介護も自分でして見送った。得意は料理。趣味は酒。家族は妻と猫1匹。自慢はよき友達。

おじさんたち

◎何が何でも働き続ける

 先だって、るなぱあくが在京キー局のBSの経済番組で取り上げられた。理由は中高年の積極採用、中高年の豊富な経験を活用している遊園地だって褒められたわけ。事実だけど、実はそれほど奇麗ごとでない。

 本当の理由は、るなぱあくを運営しているNPO法人波は宜ぎ亭てい倶く楽ら部ぶが前橋市の指定管理者だということにある。指定管理者は三年契約で、三年後に市がヤダよって言うと終わりなのだ。たった三年しか確実性のない仕事に将来を賭ける若者なんているはずはない。

 それに、公共施設の効率的運営の名目の下で、できる限り運営コストを下げないと指定管理者になれない。波宜亭倶楽部もコスト削減に必死だった。それで、子供たちの安全と安心を守る責任ある仕事にしては、なんとも低水準な雇用条件となった。だから、結果として中高年を採用したので、最初から中高年パワーの活用を考えたのではない。

 でも、結果として中高年はすごいのだ。青天井の仕事場で、夏の酷暑にもメゲズ、鍛えぬいた身体を目いっぱい使ってきた。遊具や施設の管理、修繕、清掃、除草、植栽の手入れ、クマの飼育、そして、何よりも大事な遊具の運転とお客さまのお相手、何でもやれる。子供たちもおじさんやおばさんとの少しだけ珍妙な会話を喜んでくれている。遊具の安全管理や環境維持には豊富な経験が確実に生きている。伊藤信吉さんの「マックラサンベ」流で言えば、るなぱあくの中高年は、少しイイベエチクリンだけど、タッコネエのはいない、決してイーカンベエでない、とっても素す敵てきな人たちだ。だから、るなぱあくには接客マニュアルはない。みんなの個性と経験で十分なのだ。

 そんな素敵な人たちが、低水準な雇用条件に甘んじて働いているのは、ただ、ただ仕事がないからなのだ。

 国の「高年齢者就労実態調査」(平成十六年)では、六十五歳から六十九歳の男性の50%が働いている、働いていない者も半分近くが働きたがっている。中高年はしっかり働いている。労働意欲も旺盛だ。このことが若いやつの仕事を奪っているなどとタァゴト言うグレッパチがいるけど、本当のところは、戦後一貫して、日本の経済社会を支えてきたのは、中高年の旺盛な労働意欲と勤勉性だったのだ。今でもそうなのだ。

 なのに、「求人ジャーナル」見たって、ハローワークの求人カード探したところで、ほとんどの求人が四十五歳まで、たまにあっても五十五歳までだ。中高年の求人なんてないに等しい。だから、テレビ番組でるなぱあくが優等生扱いになる。褒められたってちっともうれしくない、嫌なご時世だと思うだけだ。

 ボヤイテいたって始まらない。中高年は、もういい加か減げん我慢するのをやめようじゃないか。嘘うそッコキな連中をしっかりオットバシて、美しくなんかなくても、「希望」のある世の中にしようぜ。それまで、おじさんたちは何が何でも働き続けるのだ。この国の社会をしっかり支え続けてきたのは、おれたちなのだから。






(上毛新聞 2006年11月19日掲載)