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明和町文化協会会長 山平 薫さん(明和町新里)

【略歴】広島県出身。旧制東海高等通信工学校(東海大短期大学部)卒。陸軍第6師団、逓信省、電電公社勤務を経て、現在オプティ・アパレル会長。随筆家、写真家。

官民一体できめ細かく

◎交通安全運動

 日本の自動車産業の発展には、目を見張るものがある。なかでも急速に脚光を浴び、多くの人から愛用されている車に軽自動車がある。その性能も驚異的に向上し、狭い街中を軽快に走り、日常生活から切り離せない存在になっている。

 車は、使う人の心掛け一つで「良い道具にもなるし、凶器と化すこともある」と肝に命じて、安全運転を心掛けることが大切である。

 高度成長時代には、車愛好者は競って普通車に乗ったが、長い不況時代のあおりと、石油の高騰に起因してか、昨今は懐具合に合った低燃費で小回りが利く軽自動車に人気があるようだ。

 子供連れの若い女性ドライバーも増えている。後部座席で動き回る幼児の姿を見かけることがある。後ろの席は必ずしも安全とはいえない。賢明なお母さん方は、万一を考えて安全運転を心掛けてほしい。今は少子化時代である。子供をいかにして事故から守るかが、大人に課せられた義務であることを自覚すべきだろう。

 しかし、心もとない人たちが、日本の津々浦々で飲酒運転による事故を引き起こし、幼い命を巻き添えにしている。由々しき問題である。行政も遅まきながら、法改正による罰則や事故防止に対して、毅然(きぜん)たる態度で臨もうとしている。官民が一体となって、すべての人たちが納得のいく対策であってほしい。

 本県は山と平野に二分された立地である。公共の交通機関が少ないこともあって、生活には欠かせないのが車だろう。

 今年、運転免許証の更新に伴う高齢者講習を受けたときのことである。会場の別室で、若者たちが真剣なまなざしで受講する姿があった。やがて免許証を携えて、若葉マークを付けた車で街に繰り出すだろう。初心を忘れずに頑張ってほしい。高齢者も時代に即した講義を受けたおかげで、自分たちの能力を知ることができ、紅葉マークを張って安全運転に努めることを自覚した一日であった。

 車を運転していると、いろいろなことがある。九月三日の夕刻だった。はやばやとライトをつけて優先道路を走行中に一台の自動車が突然、一時停止の道路から交差点内にボンネット分ほど飛び出してきた。こちらの道が広かったこともあって、事なきを得たが、びっくりした。相手の女性運転者に「気を付けてね」と言ったところ、反対にものすごい形相でにらみ付けられた。片手でも挙げて、あいさつの一つもするのがマナーというものではないだろうか。

 走行中、前方左側にこちらを向いて駐車している車も見かける。車の前方は反射物もなく、夜間は確認が困難なときがある。こういう駐車はやめるべきだ。

 九月十八日付の上毛新聞社会面に「事故防止へ基本マナー啓発」の見出しで、県警交通事故調査委員会の実地観察と聞き取りの内容が掲載されていた。官民一体できめ細かな運動をして、国民一人一人が安全を守ることを義務として認識していけば、交通事故もだんだん減るのではないだろうか。






(上毛新聞 2006年10月14日掲載)