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◎生活の中に応用できる 先日、「Wellmet!展」の来年度幹事から、次回のテーマに関連した質問メールが届きました。同展は、昨年から毎年五月に富岡市七日市のアトリエU・Eで行われる大学の日本画科同窓生による七人展です。 Q 今日、印象に残ったものの色はなんでしたか? A 浅葱(あさぎ)色とクリーム色と焦げ茶色。秋を感じました。 そう答えてから、読み返してみて、びっくりしました。浅葱色を見て秋を感じたのです。浅葱色(読んで字のごとく、葱(ねぎ)の葉の浅い色で薄青緑色のことなのですが)。普段私は、浅葱色を見ても秋を感じません。むしろ、逆に春や夏を感じていると思います。そして秋と聞いて思い浮かぶ色は、紅葉した葉をイメージする色、つまり赤やオレンジや茶色などです。皆さんもそうではないでしょうか。 しかし確かに、その日私は浅葱色を見て、秋を感じたと答えたのです。では一体、なぜそう思ったのでしょうか。 それは、よく考えてみると、私の中で浅葱色とクリーム色や焦げ茶色を組み合わせることによって、秋をイメージする色へと変化したのです。単色では春や夏をイメージする色が、三色隣り合うことで、互いに響き合って、逆に秋を思わせる色へと変わったのです。 ほかにそうした例を探してみると、単色では春をイメージする芽吹きの色の黄緑色や鶸(ひわ)色も、紫色や渋いオレンジ色、臙脂(えんじ)色などと、それぞれ、もしくは数色組み合わせることによって、秋を感じる色へと変わります。また、単色では秋を感じさせる赤やオレンジ色も、青や水色を合わせることによって、夏をイメージさせることができます。 このように色は、ほかの色との組み合わせによって、単色のときにその色が与える印象とは全く違ったイメージをつくることができるのです。つまり同じ色を使ったとしても、違う色と合わせることによって、何通りものイメージにつくり変えることができるわけです。 そしてこれは、生活の中に応用することもできます。実際には色彩のほかに素材感もプラスされるので、一概にはいえない部分もあるのですが、例えば、一年を通して同じじゅうたんを使っていても、カーテンの色を変えるだけで、もしくはソファに違う色の布をかぶせるだけで、夏向きの雰囲気を秋冬らしいインテリアに変えることも可能です。 また、同じ一枚のスカートでも、上に着る物や羽織る物の色を変えるだけで、すべてを買い替えなくても、四季を通じて使うことができます。花瓶を置いたり、スカーフをするなど、一部に挿し色をするだけでも、がらりと雰囲気が変わり、生活に季節を取り込むことができるのです。 もちろん、季節感だけでなく、「楽しい」「温かみのある」「落ち着いた」「優しい」、あるいは「和風」「洋風」といったことまでも、色の組み合わせひとつで、イメージを変えることができるのです。 インテリアや服装に、今までとは違った組み合わせを見つけて、季節感を取り入れたり、イメージチェンジをしてみるのも、ときには楽しいことだと思います。 (上毛新聞 2006年10月6日掲載) |