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はるなみずべ楽会会長 戸塚 歳男さん(榛名町高浜)

【略歴】高崎経済大卒。現像会社や写真のアシスタントを経て写真館を経営。その傍らカナディアンカヌーに魅せられ、水と自然に癒やされる生活を送っている。

次世代へ引き継ぐ

◎資源循環型の社会を

 「地球の温暖化によって、異変が起きている」という警鐘が、さまざまなメディアから発信されています。

 春先の花の開花が早まっている。奧日光のシカの数が増えて尾瀬にまで入り込み、食害を起こしている。昆虫の北限の緯度が上がってきている。海でも魚などの生息域が変化している―など、いろいろな異変が起きているようです。

 確かに、私たちの子供のころと比べ、冬季は暖かく、氷の張る日数も減り、夏季は酷暑の日が多くなった、と感じられます。

 地球は「水の惑星」とも呼ばれているほど、多くの水があります。このまま地球の温暖化が進んでいけば、この多量な水の循環パターンが変化し、私たちの生活にも影響を与えそうです。

 広大な海面からの蒸発が増え、雲が多くなり、雨の降りやすい地域ではより多くの雨や雪が降り、土砂崩れや洪水の危険が増します。同時に、他の地域では蒸発だけが進んで土地が砂漠化し、植物は生育できなくなってしまいます。さらに、海水温の上昇や海流の変化によって、大規模な気象の変化が起こってしまう可能性が高いそうです。

 私たちの地域では、今まで幸い、干ばつや大雨による災害もあまりなく、良質の水源にも恵まれています。そのため、毎日、おいしい水を使わせてもらっています。

 豊かな自然環境が良質の水の源となっていますが、里山の自然は人の手入れがないとすぐに荒れてしまいます。林業や農業に従事されてきた方々が、豊かな自然環境を維持・管理されてきたことに、大いに感謝しています。

 経済最優先の大きな流れの中で、乱開発を行い、大量生産、大量消費をよしとし、自然環境に大きな負荷をかけ続け、大量のごみまで出してしまい、水も汚してしまった地域も決して少なくありません。

 こうした現実を見てみると、私たちの地域は人と自然と経済の微妙なバランスの中で、良質の水源を保全している貴重な地域だといえるのではないでしょうか。

 今、各地で、水源地の植林や水質の改善に向けた取り組みが広まっており、成果を挙げています。

 地球温暖化への対策も含め、次世代へ引き継ぐ自然環境への負荷が少ない「資源循環型社会」の構築を目指そう、という意識を広げていきたいと思っています。

 水や電気の無駄遣いはやめ、ごみの分別・リサイクル、廃水の浄化等、身辺でできることから始め、山の手入れや植林等の活動にもぜひ参加してみてください。

 一人一人が限りある資源の循環を意識し、行動していくことが大切だと思います。






(上毛新聞 2006年9月24日掲載)