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◎地域が一丸となって 「私にはひとには教えたくない温泉があります。静かな山間の少しひなびた温泉で、お湯もとってもやわらかく身も心もよくあたたまります。こんな温泉があったらいいなと思い続けてやっと見つけた私だけの温泉」 これは、四万温泉のキャッチフレーズです。当時、青年部長をされていた入内島道隆さん(現中之条町長)の考えたコピーです。そして、この文章を入れて四万温泉をイメージしたイラストのポスターを作製しました。ただ、ポスターはこの文章だけで、四万温泉という名前を一カ所も入れなかったのです。 当時、理事会は賛否両論で、「ポスターに名前が入ってなかったら、見た人が何だか分からない」(長老組)「イメージなので、このポスターの温泉地はどこなのかを誰かに聞くなどして探し、四万温泉と分かった時にインパクトが強い」(若手組)と意見が分かれました。最終的には理事会で承認され、マスコミ関係者に配布したところ、かなりの反響がありました。 第一回の県観光ポスターコンクールでは堂々の第一位、知事賞を受賞し、関係者を驚かせました。そして、このキャッチフレーズを核に、将来に向かって進むべき方向性の四本柱を決定しました。それは「湯」「自然」「人」「街」です。これをコンセプトに位置付け、地域づくりを始めました。 四万温泉協会の特色の一つとして、委員会がたくさんあります。関係者が集まり、論議する機会が非常に多いのです。でも、この四本柱が明確になったことで、さまざまなプランの検討を行う際に無駄な論議をしなくなりました。例えば、有名な歌手の方からコンサート開催の打診があったとしても、地域のコンセプトに合わなければ実現しません。キャッチフレーズや柱が決定したことで、各委員会は迷うことなく方向性を見いだしています。 イベントは少なくなりましたが、例えば旅館、商店では「トイレ貸します」「雨宿りどうぞ」といった看板を設置したり、「日本一きれいな温泉地をめざす会」の発足、足湯の新設、ボランティアによる植樹、歴史の勉強会、温泉の見どころをまとめたテキストの配布等、地域において何を一番大切にすべきかを考え、それに取り組んでいます。 そして、このような活動をどのように発信していくかが課題です。つい最近、民放テレビの朝の番組に生出演する機会がありました。当日はかなりの問い合わせがテレビ局にも、私どもの事務所にも、たくさんありました。1%の視聴率で百万人の方が見ているそうです。テレビの反響はすごいものがあります。四万温泉協会の年間広告費はほとんどありません。旅行雑誌や新聞、テレビ等で取材してもらう方がより効果的だと考えています。 ただし、今後は発信する内容をいつも地域が一丸となって新しく考えることが大切になります。マスコミ対策は、今後の観光の一つのキーワードではないでしょうか。 (上毛新聞 2006年9月19日掲載) |