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◎困ったら原点に戻ろう 教育改革の言葉が使われて、すでに相当な時間を経過している。現在においてもこの言葉が使われていることは、それだけ、教育に関係する制度的な面、質的な面での改善などを含め、依然として多くの課題があるからであり、学校教育、社会教育のいずれからも取り組まなければならないものである。 これらの課題の改善に向けて、学校教育法をはじめとする教育に関係する法律の改正が行われており、教育基本法の改正案も国会に提出されている。 しかし、法律がどのように改正されようとも、教育は人間が人間に対して、相互の触れ合いやつながりを通して行われ、効果が高められるものである。このことは時代が変わっても、変わらないものである。 学校教育や社会教育にかかわる人たちは、常に幼児、青少年、成人の有する能力や適性などの一層の伸長や成長を図るために、日々たゆまぬ努力を続け、研さんを積んでいる。教育をより良くするためには、指導者自らが向上心を高め、創造力を培うことが大切である。指導者がこれらに取り組んでいる姿は見えにくいものであるが、この取り組む姿勢が学習を望む人たちを引きつけるもととなっている。特に、子供や青少年に対しては多くの影響を与えるとともに、生きていく上での大きな力を蓄えさせるものとなる。 私たちが生活をしている社会では常に新しい見方や考え方が生まれ、それらに基づいて具体的な物がつくり出され続けている。今の子供たちが第一線で活躍していくころの社会は、現在と比べてさぞ大きく変わっていることだろう。 だからこそ、これからの社会を背負う子供たちには、どのように社会が変わっても、その中で物事に前向きにしっかりと取り組める姿勢を身に付けさせたい。これらの育成に向けてはさまざまな取り組みがなされている。いずれも子供たちの健全な成長を願ってのものであるが、その内容や方法はややもすると、日々の生活を踏まえたものよりも、先行する各種の情報から得たものを用いている場合が多くなっているのではないだろうか。 昔から言われている「子供は親の背中を見て育つ」の言葉が思い出される。この対応が遅いようであるが、最も有効なのではないだろうか。それができるのは子供たちが常に目にしている親、地域の方々、教職員などで、その人たちが日々働く姿であり、たゆみない努力を続ける姿である。 先人の教えにもあるように、困ったときには原点に戻ることが大切であり、原理・原則に立ち戻ることである。大人が毎日の生活の中で物事に真しん摯しに取り組む心をしっかりと持ち、自覚して役割を果たしていくことが、社会の将来を託する子供の育成にとって最も大切なのではないか。 (上毛新聞 2006年9月9日掲載) |