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環境カウンセラー 片亀 光さん(玉村町上新田)

【略歴】筑波大卒。環境評価機構代表取締役。高崎経済大非常勤講師。環境カウンセラー全国連合会常務理事。エコアクション21審査人。省エネルギー普及指導員。

ごみの有料化

◎冷静に検討すべき時期

 石油製品が高騰している。ガソリンの全国平均価格は平成二年秋の最高値である一リットル当たり百四十二円をついに突破し、家計や企業経営を圧迫している。皮肉なことに、産業界の反対で日の目を見ない環境税以上のインパクトを与えているのではなかろうか。自転車通勤に踏み切る人も増えていると聞く。

 ごみ問題についても、経済的手法が有効である。環境省は昨年五月に廃棄物の減量等に関する基本方針を改正し、「経済的インセンティブ(動機付け)を活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化および住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきである」として、初めて公式に自治体のごみ処理有料化推進の方針を示した。

 十五年三月に全国都市清掃会議がまとめた「ごみ処理の有料化に係る調査」(十三年度時点)によると、42%の自治体で家庭ごみ処理の有料化を実施しており、未実施の自治体でも約三分の一が導入に向けた準備を進めていた。最近では北九州市、福岡市、京都市など政令指定都市レベルでも有料化が導入されている。

 環境省によると、十四年度のごみ処理費用は建設費を除いた維持管理費ベースで一キロ当たり三十円である。それらは住民の税金で賄われており、たくさん出しても減らす努力をしても無料収集ということは、逆に不公平であり、排出量に応じた負担の公平化を図るというのが有料化導入の根拠となっている。

 有料化による効果としては、(1)発生抑制・減量化の推進(2)負担の公平化(3)住民の意識改革(4)財源確保―などが期待されている。日野市では十二年度に導入して45%の減量を達成し、リバウンドも見られない。

 料金徴収にはさまざまな方式があるが、指定袋による単純従量制(一袋から有料)が最もシンプルかつ効果的であると考えられる。手数料は高い方が減量効果が大きいが、大袋(四十五リットル)で四十五―五十円程度が妥当な水準であろう。また、資源ごみについては手数料を軽減または無料とするなど、住民の分別・リサイクル努力の受け皿づくりが必要である。

 導入に際しては、不法投棄の防止や紙おむつ排出への福祉的な配慮等について、住民を交えて十分な検討と説明を行う必要がある。併せて、小規模な事業所の一般廃棄物についても、八王子市や日野市のように有料の専用袋による自治体ルートでの回収を導入することが、収集に伴う環境負荷やコスト削減の観点から望ましいと考える。

 本県では、前橋市、太田市、安中市でごみ有料化が市長選の争点の一つとなったが、いずれも有料化撤回を掲げた候補が当選し、全国的な流れとは逆行する結果となった。有料化以外の減量化策を否定するつもりはないが、あらためて有料化導入について冷静に検討することを提唱したい。






(上毛新聞 2006年8月24日掲載)