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◎やる気を伸ばしたい 七月二十日、大方の幼稚園、小中学校では一学期の終業式が行われた。一斉に夏休みに入ったのである。今年の梅雨は例年になく荒れる日が多く、各地に被害をもたらし、多くの人たちが避難を余儀なくされた。 東毛地域は地勢、気候などの自然的条件に恵まれているせいか、数回の豪雨に襲われたものの、これというほどの被害はなかった。 終業式当日も不安定な梅雨空であったが、子供たちは背にランドセル、両手にはたくさんの学用品や私物を携えて三々五々、校門を後にしていた。 心なしか、表情にも明るさが漂っていた。街角には小旗を持ったボランティアのお母さん方が、左右に目を配りながら安全を確かめては子供たちを誘導していた。「車に気を付けて帰るのよ!」「はい!」 お互いに言葉を交わしながら渡る交差点の光景を目のあたりにしたとき、「わたしたちが子供たちを守るのだ」と、いう意気込みが感じられ、心温まる思いであった。 梅雨も明け、公園の隅でキャッチボールに興ずる子供たちに、夏休みは何をして過ごすのかと聞いてみた。子供たちは「勉強したり、遊んだり、体を鍛えること」と答えてくれた。 子供たちは、自分たちに課せられた使命がいかなるものかを知っていたのである。このやる気を伸ばせるのか、伸ばせないかは親の責任であると同時に、学校の指導によるものと考える。 遊び場の少ない子供たちも休みになると、住宅街などの狭い通路やわずかな空き地を見つけては、サッカー、キャッチボール、ときには鬼ごっこなどして、日の暮れるまで駆け回っている。 体力がつけば、気力も保持することができる。それには「運動、休養、栄養」を欠かすことができない。 夏休みは子供たちにとって、朝から家族と楽しく暮らせる絶好の季節である。 家族そろって海水浴に出掛けたり、ハイキングなどの家庭レクリエーションの場をつくってやれば、健康にもつながり、親子のコミュニケーションも円滑になって、子供たちとの会話も弾む。健康的にもよい結果につながるのだから、親は子供たちに喜ばれるような、楽しい夏休みにしてあげたい。 現代の子供たちの体力を二十年前と比べてみると、男女とも劣っているそうだ。由々しき問題である。飽食の時代といわれる昨今、栄養過多の子供や若者が増えているようだ。体は大きいが、持久力がないようである。 先日、ある中学校の持久力競走を目のあたりにして感じたことは、わずか二、三キロのコースだったが、肥満体の子は苦しそうに、普通の子は元気で通りすぎていった。全員が息を弾ませながら完走したのである。 今年は、夏休みを短縮して勉強させるそうである。「運動、休養、栄養」もバランスよく取れるよう心掛け、健全な子供たちを育成してもらいたいと願うものである。 (上毛新聞 2006年8月15日掲載) |